最新号は、さいたま市・こばと農園 田島友里子さん。新規就農でJAS有機認証を取得。「さいたま有機都市計画」の農家26名のネットワークを形成。マルシェの開催、学校給食の取り組み、体験農園の実施、販売先の新たな開拓などを実践。さいたま市が支援。市は「有機農業を推進する都市」を掲げ市長が“オーガニックビレッジ宣言”を行いました。さいたま市は、毎年20名近くが新規就農。若い農家のネットワークが生まれ市が全面協力。大きな注目となっています。

金丸弘美のニッポンはおいしい! その33「資本主義のリズムじゃなくて、自然のリズムで生きたい」 さいたま市・こばと農園 田島友里子さん

調べてみると「国連は、2026年を「国際女性農業従事者年」と定めています。担当機関の国連食糧農業機関(FAO)が 加盟国に対し、農業や関連産業に携わる女性の地位向上を働きかけ、各国の食料安全保障の確立を目指しています」とありました。

イタリア:エミリア=ロマーニャ州から届いたメッセージ

さらに最新活動をイタリア:エミリア=ロマーニャ州のFausto Faggioli (ファウスト・ファジョリー)さんに送ったら、嬉しい返事がきました。ファウストさんはアグリツーリズム(農業観光)の先駆的実践家。大学・行政・金融機関・EUなどの教育連携もされています。
■Fausto Faggioli さん:https://www.facebook.com/fausto.faggioli

ファウストさんのことを知ったのは、中央大学法学部工藤裕子教授でのイタリア現地ゼミでのこと。小笠原諸島振興開発審議会(国土交通省)で委員をしていたときに工藤教授と知り合い、そこからイタリアに誘われたのでした。工藤教授のゼミの目的は、アグリツーリズム(農業観光)を学ぶものです。この現地レポートは、合同出版の「もっと先の未来の歩み」で配信されています。

■「第2弾 農村観光の本場からの最新レポート(イタリア:エミリア・ロマーニャ州)

ファストさんのアグリツーリズムと食堂。

席の左がファストさん、右端が工藤裕子教授。立っているのはファストさんの妻。

ファストさんのメッセージには次のようにありました。

「食、農業、環境、そして地域開発がどのように融合できるかを示す素晴らしい例です。倉吉でのワークショップ、特に農業における女性によるイノベーションに焦点を当てた内容に大変興味深く拝見しています。これは、ロマーニャでの私たちの経験と非常に近いテーマだと感じています。また、約60種類のレシピを出版されたことも大変光栄に思います。文化と知識を高め、伝える素晴らしい方法です。日本からイタリアへ、ビデンテ渓谷から鳥取県へ、夢、ビジョン、そして経験を共有し、共に真に革新的な未来を築きましょう。馬(今年の干支)の精神が教えてくれるように、2026年が軽やかな旅と有意義な出会いに満ちたものになりますようお祈り申し上げます。敬意と友情を込めて。ファウスト」

倉吉市の食のワークショップ。中央が料理指導をした馬場香織さん。

地域の食を生かした味覚のワークショップ

「倉吉でのワークショップ」とあるのは、2024年から、鳥取県倉吉市から、農業振興のアドバイスを求められて、地元の特産の農産物の環境・栽培歴・品種などを調査し、そこから農家や地元の方を交えて参加型のワークショップを開催。料理からレシピ展開までを行うものです。見た目・香り・味わい・食感・音なども表現し、テキスト化するものです。これまで3回が実施され実施報告書として公開されクックパットでレシピも掲載。メディアでも10媒体近く登場し大きな反響となっています。地元の方々にも「こんな料理ができなんて、びっくりしました」と驚かれたのでした。体験し料理を味わいテキストにすれば、だれでもが食材の背景から食べ方、料理展開まで発信ができるようになります。
「長芋と猪(ジビエ)」
 ●「スイカ」
 ●「梨と和牛」
食のワークショップはイタリアのスローフードでは「味覚のワークショップ」と呼ばれています。イタリアの現地で学び、各地で行うようになったものです。これまで茨城県常陸太田市「常陸秋そば」、茨城県小美玉市「レンコン」、岐阜県高山市「宿儺かぼちゃ」、兵庫県豊岡市「コウノトリ育む米」などで実施してきたものです。フランスがルーツと言われ、フランスでは小学校の授業でも実施されていて、それも学びにいきました。倉吉市の料理指導をされた馬場香織さんも一緒に行きました。「味覚のワークショップ」は、地域のブランドや食の地域振興にも直結しているものです。イタリアのスローフードでは、別会社で出版社を持ち、かつスローフード・食科学大学も運営されていて、農産物や食の現地調査をしてテキスト化を行っています。授業もあります。このことで、地域の食文化が明確に語れるようにもなっているのです。

コウノトリ育むお米のひみつ
 
イタリア・アグリツーリズム・レポートが大きな広がりへ
 
ファストさんのメッセージのお礼とともに、イタリア現地視察を岡崎啓子さん(エミリア=ロマーニャ州在住)と行ったこと。その資料をまとめたこと。1月26日、130年の伝統ある「日本橋倶楽部」から依頼があり、イタリアの農村観光(アグリツーリズム)」を紹介することを伝えました。
講演「イタリアの農村観光~ミラノオリンピックにさきがけて~」 

アグリツーリズムのことは、「エネルギーから経済を考えるネットワーク会議」のメールマガジンで、エミリア=ロマーニャ州在住の岡崎啓子さんから現地レポートをだしていただいています。
 
2024年5月号 岡崎啓子氏に聞く (イタリア・エミリア=ロマニャ州在住)アグリツーリズムと再生エネルギー~イタリアからの現地レポート(1)~
イタリア・スローフード食科学大学。右端が岡崎啓子さん。彼女はこの大学の卒業生。

すると、すかさず、次のようなメッセージが届きました。

「イタリアと日本の間での情報交換は、私にとって最も重要かつ貴重なものの一つです。それは私たちを豊かにし、より近づけ、異なる文化であっても、土地、食、そして地域社会への深い敬意を共有する両国の間に架け橋を築くことを可能にします。皆様からいただいたアドバイスが引き続き役に立ち、皆様の情熱と熱意をもって活動を続けられていることを知り、大変嬉しく思います。新しい報告書の発表と「日本橋倶楽部」での会議開催、おめでとうございます。これは、イタリアと日本両国の持続可能な開発にとって重要な資源である農村観光の可能性に焦点を当てた、タイムリーで戦略的なテーマです。敬意と愛情を込めて、ファウストより」
ファジョリー農場のリビングとダイニング

イタリアのアグリツーリズムは、2万5000軒以上あり、農業振興で大きな力となっています。経営の充実とともに農業分野で女性経営者が増えています。日本では、「農泊推進事業」が政策にあがっていて予算化され農林水産省・観光庁でも進められています。

「農泊」の推進について(農林水産省)

国では、2025年、新たに「地方創生2・0」を政策をだしました。そのなかで、若者・女性からみて「いい仕事」、「魅力的な職場」、「人 生を過ごす上での心地よさ、楽しさ」を具体化・見える化をし推進することが謳われています。

「地方創生2.0基本構想」(概要)

地方振興において、女性活躍と農業振興の具体的な活動レポートは、イタリアの運動へと連動し大きな共感を得られたことで、今後の活動の大きな弾みとなりました。

ファジョリーさんの現地レポート
食の雑誌「味の味」(アイディア)エッセイより(2020年4月)
ファジョリーさんの活動とアグリツーリズムは、以下の書籍で紹介しています。
『田舎の力が 未来をつくる!ヒト・カネ・コトが持続するローカルからの変革』(合同出版)
味覚ワークショップの授業のレポート
「創造的な食育ワークショップ」(岩波書店)
「地域の食をブランドにする!食のテキストを作ろう」(岩波ブックレット)