鈴木代表理事
緊急事態宣言は解除されましたが、コロナという見えない相手との付き合いは慎重な試行錯誤が続きます。 さて、テレワークやTV会議を取り入れた新しい仕事の仕方に変わった会員の皆さんも多いと思いますが、多くの人が、今まで満員の通勤電車で朝晩時間をかけて会社に行き来することの意味を考えて始めているのではないでしょうか。 付加価値を生まず、疲労しか生まないあの時間と営みに疑問を持った人は多いと思います。また、東京でいえば、あのせまいところに1200万人がひしめき合っていること自体がおかしいと感じ始めた人は多いと思います。物理的に移動するということの意味も然りでしょう。 私の地元の小田原のような「適度な田舎」にいるとこれからは小田原の時代かな?と思います。(笑)普段は、自宅でもコワーキングスペースでもテレワークで働き、週のうち1か2日だけ東京の会社に出勤するというような働き方がもしできれば、小田原ほどいい場所はありません。まず、満員電車での通勤がないので、自宅か、コワーキングスペースへは徒歩か自転車で、通勤時間は限りなくゼロです。定時に終わったら、自由になる時間はたっぷりとれそうです。海岸を走ってもいいし、習い事でもいいし、もちろん、家族との時間、まちづくりの活動やボランテイア活動でもいいし、週末は箱根に上がって景色を観たり、ホテルで朝ごはんをたべたり(泊まると高いので 笑)、ゴルフ場は近いし、川に釣りに行っても庭いじりでも…。家も小さな菜園付き一戸建ても夢ではありません。もちろん、駅に近いマンションも便利です。新幹線で全国どこへ行くにも便利ですし、羽田空港へはドアツードアで一時間です。 こんな小田原に住むと、つまりライフスタイルを変えると、使うエネルギーは大幅に減ります。食するものも地産地消が増えます。自分が暮らす場所に興味・関心が湧き、自然と持続可能な地域とか社会とかについて考えるようになります。すると、顔の見える関係(うっとうしくなる時もありますが 笑)をベースにいろいろな地域貢献活動も始めるようになるかも。このようなライフスタイルが可能な場所は、もちろん小田原だけでなく日本中にあると思います。 そんな心に余裕があるライフスタイルに慣れてしまうと、豊かさとは何か?とか、お金とは何か?などという根源的な問いに気が付いてしまう人も増えるのか知れません。 人々の暮らし方、働き方が変われば、さらに価値観さえ変わってしまえば、企業は人材の確保のために、また、顧客の支持を受けるために、自らの行動も変えざるを得ないと思います。これまでの炭素社会から脱炭素社会へいう社会全体の変革と気候変動に対するアクションは表裏一体であって、気候変動対策としての脱炭素というのともちょっと違う新しい時代への入り口にいるのかも知れないと感じる、このコロナ禍の下です。 コロナのせいで図らずも私たちは来るべき未来を一足先に見せられているのかもしれません。 <推薦図書> 1.コロナ時代の僕ら パオロ・ジョルダーノ著 飯田亮介訳 早川書房 1,300円(税別) 話題になっている本なので、お読みになった方も多いかも知れませんが、ローマ在住のイタリアの若手人気小説家がコロナ禍での暮らしで感じたことを、2月末から3月初旬に綴った本です。 本篇では、数学者でもある著者は、小説家らしいしゃれた、科学者らしい明解な表現で厳しい状況を読みやすく伝えてくれます。 そして、著者のあとがき「コロナウイルスが過ぎたあとも、僕が忘れたくないこと」でコロナの後、本当に考えるべきことは何かを問いかけてきます。 2.地球に住めなくなる日 気候崩壊の避けられない真実 デイビッド・ウォレス・ウェルズ著 藤井留美訳 NHK出版 1,900円(税別) これまた話題の本です。このコロナの件で気候変動がちょっと脇に置かれていますが、もちろん、その脅威は無くなったわけでもなく、新種のウイルスの蔓延も気候変動の影響だという意見も多いです。 コロナへの対応に手を抜かずに、気候変動への取組みもしっかりせねばと思わせる本です。 それにしても政治の役割は大なのですが…。 以上。
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