1. 背景にあるもの
省エネ補助金の本命である「エネルギー使用合理化等支援補助金」のH28年度の
概算要求1,260億円は、昨年度の3倍になります。その理由は、政府が2015年7月に国連に日本の温室ガス効果ガス削減目標を「2030年に13年比▲26%」とした約束書を提出したことと密接な関係があります。この削減目標を決めるにあたり、エネルギー構造を見直し、エネルギー起源での削減CO₂排出量を▲21.9%としました。その設定根拠である実現手段の84%が省エネです。
補助金3倍を呼び水にして「徹底した省エネ」を図る政策です。
 
2. 2016年度の主な省エネ補助金の解説
経産省:
エネルギー使用合理化等事業者支援補助金:1、260億円(15年度410億円)
 
この補助金の中身は、大きく二つに分かれます。ひとつは工場・事業場単位、もうひとつは設備単位です。この補助金は工場・事業場単位で省エネに取り組むのが前提ですが、大企業、中小企業、あるいは商業ビル、病院、介護施設など、その規模、
業種は問いません。補助金の採択を受けるには工場、事業場の単位で申請する必要があります。採択の基準は省エネの絶対量、省エネ率、費用対効果。
この三つを目安に点数のいい案件から、順番に採択されます。
新たに創設された設備単位の省エネ補助金は、省エネ効果は高いが、自力で
投資が困難な設備の更新を重点的に支援します。中小企業の中には省エネは
したいが、工場単位、事業場単位で取り組むには敷居が高い、資金的な余裕がない。しかし空調機だけは省エネ性能の高いものに換えたい。そういったニーズに応えるために設けられました。(LED,空調機、業務用給湯機等が対象)
 
省エネルギー対策導入促進事業補助金:9.5億円(15年度5.5億円)
 
これは、中小企業などに対して、省エネ・節電診断・省エネ相談などを行う際の
補助金です。まさにエネ経会議・エネルギーなんでも相談所が2015年度の補正予算で採択になり神奈川県を中心に7社の省エネ診断した補助金です。
 
勿論2016年度も応募予定ですので関連各位にご協力・ご支援をお願いします。
 
エネルギー使用合理化特定設備等促進事業費補助金:30億円(15年度26.1億円)
 
   省エネ機器やトップランナー機器の導入に際しては、金融機関から融資を受ける際に利子補給を行う補助金です。
 
住宅・ビルの革新的省エネルギー技術導入促進事業:190億円(15年度7.6億円)
ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)・ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)
 
ZEBは省エネと再生可能エネルギーを組み合わせるのが基本です。太陽光発電、太陽熱、地中熱などの再生可能エネルギーで創エネし、建物の断熱、照明機器、
空調機器、ヒートポンプなどの機器を導入して省エネします。これらの設備機器は
ZEBの場合、BEMS(ビル・エネルギー・マネジメント・システム)を利用して運用を
制御し、エネルギー使用の正味ゼロを目指す。
まさにこの補助金を活用して鈴廣の新本社事務所は、2015年秋に完成しました。
 
戦略的技術革新プログラム:135億円(15年度75億円)
 
環境省:126億円
      この補助金の一部を活用して、2014年に省エネ診断をしたエネ経会員企業・
株式会社 葦の例があります。
 
   その他:自治体(東京都他)関連、利子補給・減税・特別償却等の助成策
 
   注:2014年度の補正予算で15年度に「地域工場・中小企業等の省エネルギー設備導入補助金929.5億円(A分類=省エネ機器、B分類=設備の更新、
C分類=省エネ診断)」があったのですが、C分類は、16年度の本予算(2-②)として
概算要求されました。
A、B分類は、16年度の補正で公募があるという情報もありますのでご注意を。
 
3. 省エネのポイント
大手企業は自社内に省エネやエネルギーの専門家を抱え、ノウハウを持っています。
一方、中小企業は専門家が不在で、省エネをしたくてもどうやればいいのか、どこに何があるのか、分からないのが現状です。
その場合には是非、エネ経会議・エネルギーなんでも相談所の門をたたいてください。
省エネ診断・相談・計画策定・補助金申請相談などにいつでも応じます。
 
中小企業の省エネ対策は遅れています。そのポイントとなるのは経営者、
トップマネジメントの省エネ意識の向上です。経営者たちの省エネに対する意欲をいかに高めるかが重要になってきます。
この運動も現場視察(鈴廣新本社ビル、水上等・講演(商工会議所等)などを通じて
エネ経は、協力・支援しています。
 
省エネ補助金の本丸である経済産業省資源エネルギー庁省エネルギー対策課の
辻本課長のお言葉。(なかなか言い当てています)
「省エネ補助金は、経営者にその決断を促す、背中を押すためのものである。
投資回収の短い機器は自前の機器でやってもらいたい。今は給料も少しあがっている。企業の収益もあがっている。今こそ攻めの投資をしてほしい。補助金はそのための
スタートダッシュとして使ってほしい。」
 
最後に、補助金は言わば学校受験とよく似ています。応募の時期・その内容等の情報をしっかりと把握して、そのため(採択)の準備をこつこつときちんとやらなければなりません。
すぐにではとても間に合いません。
エネルギーなんでも相談所は、いつでもご相談にのりますのでご連絡ください。
 
以上