1年経って、電力会社を切り替えた家庭・事業所は5.4%と発表されています。しかしそのほとんどはガス会社や携帯電話会社など、安さをアピールする大手への切り替えです。
再生可能エネルギーや地域貢献の視点で選択したい消費者にとってはどうでしょうか。再生可能エネルギーを重視する事業者や地域の事業者も、当初は家庭向け販売を開始しているところは多くはありませんでした。今、ようやくその状況が変わりつつあります。すでに販売を開始していて、エリアを拡大するところもあります。またこれから出てくる地域電力会社も複数もあります。
各地にうまれる再エネ重視の電力会社
一方で、各地では続々と、再エネ重視の電力会社が登場しています。自治体系、生協系、地域密着系、全国再エネ事業者系など多岐にわたり、それぞれユニークな工夫をしています。ただ現状、規模も宣伝力も大手とは圧倒的な差があります。
また再エネ重視の電力供給にはまだまだ大きな壁があります。
一つは再エネ調達の壁です。日本で再エネの設備要量はまだようやく増えてきたものの全体の7% ほど(2015年度、大型水力をのぞく)です。しかもそのほとんどを旧一般電気事業者が持っているため、再エネ新電力は調達に大変苦労しているのが実情です。ビジョンを持ちながらも現状で再エネを十分に調達できていない会社も多数あります。
もう一つ、顧客獲得の壁があります。大々的な広告宣伝ができず、価格競争では大手にかなわない中、どう差別化するか。再エネを重視する顧客に出会うのは、通常は容易ではありません。ほかにも、制度変更への対応や煩雑な手続き、家庭向け供給は利幅が薄いなかでどう利益を確保するか、など多くの困難の中で試行錯誤する電力会社が多くあります。だからこそ、消費者、環境団体などが再エネ新電力を応援していくことが欠かせません。
具体的な選択肢がようやく広がった2017年。
パワーシフトを行動に移すのはこれからです。
http://power-shift.org/
*パワーシフト・キャンペーンのウェブサイトで再生可能エネルギーを重視する電力会社を紹介しています。