おひさまの電気でふくしまっ子を支援

 

きっかけは3・11

 

 海と山、自然に恵まれた湘南の小さなまち大磯でも、3・11直後から原子力に依存しない社会への転換を願い、町民有志が動きだしました。勉強会や上映会、節電教室、そして町へPPS(新電力)への転換を求める陳情(採択され約400万円の経費削減)など、地域で取り組みを続けてきた私たちは、2013年に一般社団法人大磯エネシフトを設立。翌年には町内のマンションオーナーのご厚意で、屋上に15kwの太陽光発電所を設置することができました。

2015年には、カトリック大磯教会の庭に2つめの発電所を開設。売電益の一部で福島の子どもたちを継続的に支援する「みんなの発電所」の誕生です。

おひさまの電気が、原発事故で傷ついた子どもたちの支援につながるとともに、3・11を忘れず、持続可能な社会への転換を願うシンボルに・・・「みんなの発電所」にはそんな願いが込められています。2つの発電所でつくった電気は緊急時には地域の方に非常用電源としてつかってもらうことができます。

 

3万人のまちからエネルギーシフト

 

 2016年の電力自由化を機に、私たちは生活クラブエナジーへ売電先を変更しました。環境にやさしい電気の共同購入をめざす生活クラブ生協が設立した、新しい小売り電力会社です。2つあわせて30kwの小さな発電所ですが「あなたたちの電気が買えるから生活クラブに加入したのよ」という声に、コンセントの向こう側に生産者が顔のみえることの意義を改めて感じ、とても励みになりました。

 大磯町では2015年にエネルギー条例が制定されました。しかし地域ぐるみの取り組みはまだこれからです。今後は条例を活かすための「エネルギー基本計画」の策定に協力し、町内でも農作物とエネルギーを同時につくるソーラーシェアリングを実現させたいと思っています。

 今、福島の事故などなかったかのような再稼動や原発輸出の動き、まさに国の在り方が問われるようなことが行われていますが、私たちは小さなまちだからこそできることを平和な未来のために続けていきたいと思っています。

 大磯のすぐ近くにはエネ経会議が中心となって「小田原・箱根コンソーシアム」というすばらしい地産地消プロジェクトがあります。そしてゼロエネビルに神奈川では事例の少ないソーラーシェアリングも。こうした先進的な取り組みに学ばせて頂いていることあらためて感謝申し上げます。

 

一般社団法人大磯エネシフト 岡部 幸江(福島県南相馬市出身)