1. 関連イベント|Q&Aウェビナー:GHGプロトコル スコープ2改定(自然エネルギー財団、1/8オンライン)

企業の温室効果ガス排出量の算定・報告におけるグローバルスタンダードであるGHGプロトコルが大幅な改定を行っています。改定にあたっては、専門家や企業、関係者から広く意見を募集する公開の意見交換・審議プロセスとして、パブリック・コンサルテーションが実施されており、意見提出の期限は2026年1月31日までです(2025年12月15日現在)。

自然エネルギー財団は、11月25日に実施したGHGプロトコル改定をテーマにしたセミナーに続き、事前に寄せられた質問を中心に詳しく解説するQ&Aウェビナーを開催します。本ウェビナーは、GHGプロトコル改定の理解促進に役立つ内容となっています。また、寄せられた意見や質問は、GHGプロトコル技術ワーキンググループ(TWG)スコープ2部会での議論の参考として活用されます。

◇日時:2026年1月8日(月)15:00-16:00
◇場所:オンライン(Zoomウェビナー)
◇主催:自然エネルギー財団
◇参加費無料・要事前登録

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2. 関連イベント動画・資料公開

1)SBTi企業ネットゼロ基準最新改定案のポイント〜企業脱炭素国際スタンダードの改定案第2版の注目点は?〜(WWFジャパン)

企業の温室効果ガス排出削減のための国際スタンダードであるSBT(Science BasedTargets)を運営するSBTiでは現在、「企業ネットゼロ基準」の包括的な改定作業が進められています。2025年3月に初版の改定案が公表され、多くのステークホルダーから提出された意見の検討を経て、11月6日に最新版の改定案が発表されました。

今回の改定内容は、日本企業の脱炭素戦略にも大きな影響があるため、中身を把握しておくことは非常に重要です。WWFジャパンは、SBTiステークホルダー・エンゲージメント・マネージャーのキム・ジヒョン(ジューン)氏と、専門家ワーキンググループに参加する自然エネルギー財団シニアマネージャーの高瀬香絵氏による解説ウェビナーを実施し、最新ドラフトのポイントを紹介しました。

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2)GHGプロトコル改定を理解する:スコープ2を中心に(自然エネルギー財団)

本セミナーでは、GHGプロトコル改定の最新動向について、特にスコープ2を中心に解説が行われました。技術ワーキンググループ日本人メンバー3名からそれぞれのワーキングでの状況が報告されたほか、ドラフトが公表されているスコープ2については、GHGプロトコルスコープ2担当のマイケル・マクレイ氏より、改定の背景や日本での適用についての質問への回答が提供されました。

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3)企業が知っておきたい「気候変動に関する国連会議COP30の結果」COP30の結果から考える、今後の脱炭素戦略<スクール・パリ協定プラス2025>(WWFジャパン)

ブラジル・ベレンで、2025年11月10日から会期を延長し11月22日まで開催された気候変動枠組み条約締約国会議(COP30)。激しい交渉を経て採択された「グローバル・ムチロン」と題したCOP決定文書では、化石燃料からの転換や森林破壊の停止・回復に関するロードマップを作るという文言は入らないまま採択されました。一方、正式な交渉プロセス外のイニシアティブとはなるものの、議長国自身がこれらのロードマップに関する国際的な議論の場を設定し、COP31で報告すると発表しています。その他、適応資金、アメリカの非国家アクター、国際熱帯林保護基金など、COP30の結果を受けて、日本の経済やビジネス環境に大きな影響を及ぼすパリ協定を巡る議論について、WWFジャパンが解説しました。

→動画・資料はこちら


3. 気候変動・脱炭素ニュース
11月10〜21日にブラジル・ベレンで開催された国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)の結果と、国内外の主要な気候・脱炭素関連ニュースをお届けします。
【今月の注目ハイライト】
・COP30で脱化石燃料を巡る動きが焦点に:80カ国以上が策定を支持した化石燃料からの脱却に向けた工程表は合意に盛り込まれなかった一方、議長国ブラジルが本議論の継続を主導し、COP31で報告することに。
→該当記事:A-1〜3
・韓国が脱石炭連盟に加盟し、大幅な政策転換へ:石炭火力61基のうち40基を2040年までに廃止する計画を発表。東アジア地域での脱炭素化に向けた重要な動き。
→該当記事:B-1
・科学的リスクの顕在化:サンゴの90%が回復不能の恐れ。生態系の臨界点(ティッピングポイント)に近づく兆候が示され、気候科学からの警鐘が強まる。
→該当記事:C-1
【目次】
A. 国際交渉:COP30の総括とその後
B. 国際・市場の動向:政策転換と民間リーダーシップ
C. 科学・影響:臨界点(ティッピングポイント)への接近
D. 国内の取り組み事例:再エネと地域課題の解決(JCIメンバーの取り組みを含む)

A. 国際交渉:COP30の総括とその後
A-1. COP30閉幕、「脱化石燃料」合意できず 途上国支援加速は努力目標に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA21DIS0R21C25A1000000/(日本経済新聞、2025年11月23日、有料記事)
・化石燃料からの脱却に向けた工程表の策定については、合意文書に盛り込めず。
・途上国への資金支援拡大は具体的な数値目標を欠く「努力目標」に留まり、適応と脱炭素の双方で課題を残す。

A-2. 脱化石燃料の加速へ機運上昇 82カ国が工程表策定支持、日本はまだ
https://www.asahi.com/articles/ASTCM0CTFTCMUTFL007M.html?msockid=171ea96c532(朝日新聞、2025年11月19日、有料記事)
・化石燃料からの脱却を進める機運が高まり、82カ国が工程表の策定を求める声明を発表。
・COP28で合意した「化石燃料からの脱却」を具体化し、停滞していた取り組みを再び加速させる動きが広がる。

A-3. 気候変動専門メディアCarbon BriefによるCOP30における主要成果のまとめと分析
※各記事冒頭に交渉内外での主要な成果が目次(ページ内リンク付き)で並んでいます。ご関心のある項目をクリックし、記事内の該当箇所に直接遷移してお読みください。

(1)COP30:ベレンでの国連気候変動会議で合意された主要成果
https://www.carbonbrief.org/cop30-key-outcomes-agreed-at-the-un-climate-talks-in-belem/ (英語)(Carbon Brief, 2025年11月23日)

<主要な成果の例>
・化石燃料:化石燃料「脱却」のロードマップは最終合意に含まれず。議長国ブラジルは、次回COPに向けロードマップを自主的に策定する方針を示した。
・適応:GGA(適応の世界目標)で59指標を採択。適応資金「2035年までに3倍化」が努力目標として明記。
・資金:資金供与に関する議論の整理として、2年間の気候資金ワークプログラムが新設された。
・Just Transition:新たに公正な移行メカニズムを創設。人権・先住民・労働者保護の文言が強化。
・科学:IPCCを「最良の科学」と明記する文言は削除され、科学の扱いが後退したとの懸念が多国から表明。

(2)COP30:ベレンでの国連気候変動枠組条約締約国会議における食料、森林、土地、自然に関する重要な成果
https://www.carbonbrief.org/cop30-key-outcomes-for-food-forests-land-and-nature-at-the-un-climate-talks-in-belem/(英語)(Carbon Brief、2025年11月26日)

<主要な成果の例>
・森林:ブラジル主導のTropical Forest Forever Facility(TFFF)が正式始動。官民合わせて最大1250億ドル規模の資金動員を目指す。
・農業・自然:森林減少ゼロの重要性は確認されたものの、森林ロードマップは最終合意には含まれず。持続可能な農業に関する議論は合意に至らず、COP31へ継続となった。

A-4. 次回COP、開催地はトルコ 断念のオーストラリアは「交渉議長」に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM203RA0Q5A121C2000000/(日本経済新聞、2025年11月20日、有料記事)
・2026年のCOP31はトルコで開催。誘致を断念した豪州は、締約国間の合意形成を主導する「交渉議長」を務める予定。

B. 国際・市場の動向:政策転換と民間リーダーシップ
B-1. 韓国が「脱石炭連盟」加入 世界7位の規模、すでに40基廃止を決定
https://www.asahi.com/articles/ASTCK4QJ4TCKUTFL005M.html(朝日新聞、2025年11月18日、有料記事)
・長年石炭火力に依存してきた韓国が「脱石炭連盟」へ加盟。
・新規建設を停止し、運転中の61基のうち40基を2040年までに廃止する。

B-2. SBTi、低炭素電力40年100%目標が必須 改定案第2版
https://www.nikkei.com/prime/gx/article/DGXZQOUC14A9O0U5A111C2000000(NIKKEI GX、2025年11月28日、有料記事)
・企業の脱炭素目標を評価するSBTiが、評価基準の改定案第2版を発表。
・スコープ2の目標設定において、2040年までに低炭素電力を100%にする目標が必須。ロケーション基準やマーケット基準の目標設定は任意に。
・12月12日まで意見募集を実施中。

B-3. 豪州が昼の電気代「3時間無料」に 再エネ普及、世界で需給にひずみ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM160540W5A111C2000000/(日本経済新聞、2025年11月18日、有料記事)
・豪州政府は2026年7月から、日中の最低3時間、電気料金を無料にすることを電力会社に義務付け(世界初)。
・再エネ普及による日中の供給過剰への対応策であり、需要の平準化が目的。

B-4. クリーンエネルギーへの移行、意外な国々で進展
https://www.cnn.co.jp/world/35240497.html(CNN、2025年11月15日)
・再エネの導入が世界的に加速し、特に中国の導入規模は突出。
・米国やインドも太陽光・風力を中心に導入を拡大。南アジアや中東など新興国でも安価な設備を活用した急速な転換が進展。

B-5. アングル:COP30に多数の米企業、トランプ政権不参加でも気候協議継続
https://jp.reuters.com/world/environment/BN5XSYLMKVK7RJ2KRM3DCDJEPE-2025-11-25/(ロイター、2025年11月25日)
・米政府高官が派遣されない中、マイクロソフト、グーグル、GMなどフォーチュン100企業から60人が参加し、民間主導の取り組みを継続。
・異常気象によるコスト増やサプライチェーンへの影響を背景に、気候変動に関する対話から離れない姿勢を示す。

C. 科学・影響:臨界点(ティッピングポイント)への接近
C-1. 世界の海でサンゴも氷床もなくなる、元に戻れない「臨界点」越え
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOSG2016Y0Q5A021C2000000/(日本経済新聞、2025年11月22日、有料記事)
・地球温暖化により熱帯域のサンゴの約90%が回復不能な状態に陥る恐れ。
・温暖化が深刻化すれば世界の生物種の17%が絶滅の危機。
・漁業や観光などへの影響は800億ドル規模に達する可能性があり、「ティッピングポイント」への懸念が強まる。

D. 国内の取り組み事例:再エネと地域課題の解決(JCIメンバーの取り組みを含む)
D-1. 東急不と自然電力、帯広畜産大に垂直式太陽光パネル 12月稼働
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFC091B60Z01C25A1000000/(日本経済新聞、2025年11月10日)
・積雪地域でも発電しやすい垂直型パネルを設置。農作物の収量への影響を5年間検証し、営農との両立の可能性を探る。

D-2. 草刈り短縮で一石二鳥! 中山間地コメ農家が見いだした営農型太陽光発電の意外な利点
https://www.asahi.com/sdgs/article/16142036(朝日新聞SDGs ACTION!、2025年11月10日)
・兼業農家が太陽光と稲作を両立し、収入源の多角化に加え、雑草の抑制など農作業の省力化にも寄与。
・メガソーラーとは異なる、地域に根ざした再エネの形として期待が高まる。

D-3. オムロンは脱炭素、サントリーは水:知見を無償で提供へ
https://www.alterna.co.jp/161828/(オルタナ、2025年10月3日)
・脱炭素戦略など自社の知見やノウハウを無償で提供する企業が増加。
・オムロンは製造業を対象に温室効果ガス(GHG)削減計画を、サントリーは東大と連携し、水リスクの特定を支援する。