1. 関連イベント
1)SBTi企業ネットゼロ基準最新改定案のポイント〜企業脱炭素国際スタンダードの改定案第2版の注目点は?〜(WWFジャパン、11/21オンライン)

企業の温室効果ガス排出削減のための国際スタンダードであるSBT(Science BasedTargets)。この基準を運営するSBTiは現在、「企業ネットゼロ基準」の包括的な改定作業中です。2025年3月には改定案の初版が示され、大きな注目を集めました。改定案には日本企業を含め多くのステークホルダーから意見が提出され、SBTiでは集められた意見の集約・分析、さらに専門家ワーキンググループによる検討が加えられて
きました。そして、2025年11月6日にSBTiはこれらの作業を踏まえた、最新版の改定案を発表しました。

今回の改定内容は、日本企業の脱炭素戦略にも大きな影響があるため、中身を把握しておくことは非常に重要です。WWFジャパンは、SBTiステークホルダー・エンゲージメント・マネージャーのキム・ジヒョン(ジューン)氏および専門家ワーキンググループにも参加した自然エネルギー財団シニアマネージャー高瀬香絵氏とともに、最新ドラフトの改定のポイントについて、日英同時通訳をつけてわかりやすく解説するウェビナーを開催します。

◇日時:2025年11月21日(金)14:00-15:30
◇場所:オンライン(Zoomウェビナー)
◇主催:WWFジャパン
◇参加費無料・要事前登録

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2)日本版気候若者会議2025 最終発表会のお知らせ(日本版気候若者会議、11/23オンライン)

気候変動対策を協議する市民会議の若者版である「気候若者会議」は、この夏から秋にかけて日本版気候若者会議2025を開催しました。会議では、有識者からのインプットを経て、合宿やオンラインで議論を重ね、政策提言決定プロセス、再エネ導入実現に向けて(太陽光/洋上風力)、暮らし・省エネ、若者への啓発、および、適応策という5つのテーマごとに国政・行政・企業などへ提言をまとめました。今回、そのまとめとして各テーマの提言内容を発表します。

◇日時:2025年11月23日(日)17:00-20:00
◇場所:オンライン(Zoom)
◇主催:日本版気候若者会議
◇参加費無料・事前登録不要

当日はお時間になりましたら、以下のリンクよりご入室ください。入退出は自由です。
https://us02web.zoom.us/j/83542395457?pwd=jMdhxV4tHk6PLNEPu8DgDsZxX3zQmh.1
ミーティング ID: 835 4239 5457
パスコード: 500327

3)GHGプロトコル改定を理解する(自然エネルギー財団、11/25ハイブリッド)

企業の温室効果ガス算定報告のルールが大きく変わろうとしています。10月にはスコープ2(調達電力等の発生時の排出量)についての改定案が出され、1)1時間ごとのマッチング、2)供給可能性に基づくバウンダリ設定、3)標準供給サービス(FIT、高度化法など)に含まれる電源の平均以上の主張を不可に、といった大きな改定の方向性が示されました。

本セミナーでは、GHGプロトコルの改定について、特にスコープ2について深掘りしつつ、全体の改定についても最新動向を取り上げます。技術ワーキンググループ日本人メンバー3名からそれぞれのワーキングでの状況を報告するとともに、ドラフトが公表されているスコープ2については、GHGプロトコルスコープ2担当のマイケル・マクレイ氏より、改定の背景や日本での適用についての質問への回答もいただく予定です(録画)。

スコープ2のコンサルテーションは12月19日までです。本セミナーにて理解を深め、建設的な意見を出して基準づくりに参加してみませんか。

◇日時:2025年11月25日(火)15:00-17:30
※会場参加の方は終了後にネットワーキングあり
◇参加方法:会場来場(開場14:30)虎ノ門ヒルズフォーラム ホールB またはオンラ
イン(Zoomウェビナー)
◇主催:自然エネルギー財団
◇参加費無料・要事前登録

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4)気候×生物多様性オンライン勉強会 第3回「SBTi FLAGで求められる森林破壊ゼロの確認方法とは?」(WWFジャパン、11/27オンライン)

「日本の生鮮食品価格は2020年比で22.6%上昇(2024年時点)しており、企業は原材料高騰への対応を迫られています。背景には為替や需給要因以外に、気候変動や森林破壊といった構造的要因も存在しており、持続可能な調達のためには自然資源リスクへの対応が不可欠です。また、国際的には、企業の脱炭素目標を支援・認定するSBTiにおいても、農業・森林・土地利用(FLAG)分野で「森林破壊ゼロ」の確認が求められており、農畜産物を調達する企業にとって喫緊の課題です。

WWFジャパンでは、企業向けに勉強会シリーズを開催中です。第3回目となる今回は、SBTi FLAGにおける森林破壊ゼロの確認方法やリスク確認の実務をわかりやすく解説します。農畜産物を調達しているがどこから手をつけて良いかわからない、という方はぜひご参加ください。

◇日時:2025年11月27日(木)14:00-15:00
◇場所:オンライン(Zoomウェビナー)
◇主催:WWFジャパン
◇参加費無料・要事前登録

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2. 関連イベント  JCLP「脱炭素ソリューションピッチ」12月17日(水)15:00-20:30 東京

JCIのパートナー団体である日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)は、持続可能な脱炭素社会の実現を目指す先進企業のグループです。2009年の設立以来、政策提言やバリューチェーン全体の脱炭素化、社会へのソリューション提供などを通じて、企業による気候変動対策をリードしています。

JCLPは今年7月、一般社団法人として法人化を完了し、新たなステージに移行しました。今後は、これまで以上にビジネスを通じた課題解決にも重点を置いた活動を進めていくとしています。

このような中、JCLPは、会員企業が有する実践的なソリューションを共有し、1.5度目標の実現に向けた解決策を共創する「ソリューションピッチ」と「JCLP法人化お披露目会(立食形式レセプション)」を開催します。

本会は、従来の交流を超えた、具体的な連携や協業を生み出すための試みです。熱意ある企業が自社ソリューションを力強く提案し、多くの企業が抱える課題の解決を目指します。

当日は、JCLP会員企業による展示ブースの出展もあります。様々なソリューションを見たり、名刺交換したり、交流をすることが可能です。

どなたでも参加可能とのことですので、関心のある方はぜひご参加ください(社内・社外への拡散歓迎)。

◇日時:2025年12月17日(水)
第1部【15:00-18:00】
・最新動向の紹介(含むCOP30報告)
・脱炭素ソリューションピッチ
第2部【18:45-20:30】
・JCLP法人化お披露目会(立食形式レセプション)
・ピッチ表彰
展示ブース:14:15-15:00、18:00-18:45で交流いただけます。
◇場所:TODAホール&カンファレンス東京(東京都中央区京橋一丁目7番1号)
◇参加費無料・要事前登録

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3. 2025年10月の気候変動・脱炭素に関する国内外のニュース 
1. 世界の再生可能エネルギー発電量が初めて石炭を上回る
https://www.theguardian.com/environment/2025/oct/07/global-renewable-energy-generation-surpasses-coal-first-time (英語)(The Guardian 2025年10月7日)

気候シンクタンク「エンバー」の報告書によると、2025年上半期の世界の風力・太陽光発電量が初めて石炭火力を上回りました。太陽光は前年同期比約3割増となり、電力需要増の8割以上を賄いました。報告書によれば、再生可能エネルギーの急増は主に中国とインドが牽引しています。IEAは2030年までに世界の再エネ容量が2倍以上となり、その8割を太陽光が占めると予測しています。
報告書詳細(英語):
https://ember-energy.org/latest-insights/global-electricity-mid-year-insights-2025/

2. 脱炭素認定「SBTi」、国内企業が2000社超参加 中小多く5年で20倍
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC0249D0S5A001C2000000/(日本経済新聞、2025年10月8日、有料記事)

企業の温暖化対策目標を認定する国際機関SBTiへの国内企業の参加が急増し、足元で2000社を超えました。約5年間で20倍となり、参加企業の8割は中小企業です。製造業を中心にサプライチェーン全体での脱炭素対応が進む一方、業種によって参加が少ない分野もあり、認定取得における業種間格差の拡大が懸念されています。

3. 地球が「新たな現実」に突入、気候に関する最初の転換点への到達で 報告書
https://www.cnn.co.jp/fringe/35239154.html(CNN、2025年10月14日)

世界中の科学者160人が作成した新たな報告書で、サンゴ礁の広範な死滅が、後戻りができない気候の最初の転換点(ティッピングポイント)に近づきつつあることが明らかになりました。報告書によると地球は、さらにいくつかの転換点を迎える瀬戸際にあり、中でも大西洋子午面循環(AMOC)の崩壊が最も憂慮されています。執筆者の一人は、各国政府が今どのように対応するかが、今後長い期間、地球システムに影響を与える可能性があると述べています。
報告書詳細(英語): https://global-tipping-points.org/

4. 世界の再生エネ発電容量、3倍化目標達成へ増加ペースなお不十分=報告
https://jp.reuters.com/markets/commodities/UXDIHCTY2VO45KVNHWAEPNQRJE-2025-10-15/(ロイター、2025年10月15日)

国際再生可能エネルギー機関(IRENA)などの報告書によると、世界全体で昨年増加した再生可能エネルギーの発電容量は582ギガワットと過去最高を記録しました。しかし、COP28で合意された「2030年までに発電容量を3倍にする」国際目標を達成するには依然として不十分で、今後は年率16.6%の伸びが必要とされています。報告書は、COP30を前にブラジル政府とIRENA、業界団体が進捗を分析したもので、再エネ拡大の加速を各国に促しています。
報告書詳細(英語):
https://www.irena.org/Publications/2025/Oct/UAE-Consensus-2030-tripling-renewables-doubling-efficiency

5. 途上国向け温暖化対策資金の調達案公表、COP30控え
https://jp.reuters.com/markets/japan/K5N2RLTN5VLJJHR3UVG3ZA523I-2025-10-16/(ロイター、2025年10月16日)

ブラジルで開かれるCOP30を前に、35カ国の財務相によるグループが、先進国から途上国への年間1兆3000億ドル規模の気候資金調達計画案を発表しました。財務相が資金提案をまとめるのは初めてで、信用格付けや保険料、開発銀行融資など金融制度の見直しを含み、各国の資金拡大の指針とされています。ただし、採用の可否や方法は各国に委ねられ、COP30で正式議題となる予定はまだありません。グループは「対応が遅れるほど必要投資とリスクが増す」と警告しています。

6. 温暖化・猛暑でぶどう産地がピンチ!? ぶどうへの気候変動の影響
https://weathernews.jp/news/202509/250236/(ウェザーニュース、2025年10月16日)

今年の猛暑でぶどうの粒が小さく糖度や色づきが悪化するなど、各地で品質への影響が出ています。日本の平均気温は100年で約1.4度上昇しており、ぶどうの発芽や満開の時期が早まる傾向があります。神戸大学の研究によると、2050年までに発芽は1〜3日、満開は4〜7日早まる見込みで、温暖化がさらに進むと現行の栽培管理では対応が難しくなる恐れがあります。果樹は植え替えが容易でないため、将来を見据えた適応策の検討が急務とされています。

7. 研究によると、地球温暖化により世界の海洋が「緑」を失っている
https://www.theguardian.com/environment/2025/oct/17/worlds-oceans-losing-their-greenness-through-global-heating-study-finds (英語)(The Guardian、2025年10月17日)

地球温暖化により、低緯度から中緯度の海域で海洋生産性の基礎をなす植物性プランクトンが減少していること明らかになりました。この減少によって海洋が年間 3,200万トンもの炭素吸収能力を失っています。気候変動に伴う海洋表層の温暖化により表層と深層の水温差が広がり、植物性プランクトンの成長に不可欠な栄養分の動きが阻害されているためと考えられます。この研究結果は、海洋の生物生産性の低下という新たな脅威を示しており、自然炭素吸収源である海洋の能力の低下は、地球温暖化対策の一層の強化を喫緊化しています。

8. パリ協定採択10年 再エネ、日本に潜在力 気候変動イニシアティブ共同代表 加藤セルジオ茂夫さん
https://mainichi.jp/articles/20251027/ddm/010/040/046000c(毎日新聞、2025年10月27日、有料記事)

気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」採択から10年を迎えるにあたり、JCI共同代表の加藤茂夫が毎日新聞のインタビューを受けました。協定成立の舞台裏をリコー時代の経験から振り返りつつ、企業がリジェネラティブな社会をどう実現していくかについて語りました。

9. 石原宏高環境相、メガソーラー「地域と共生しない導入は認めず」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2760V0X21C25A0000000/(日本経済新聞、2025年10月27日)

石原宏高環境相はインタビューで、メガソーラーについて「地域との共生が図られない導入は認められない」と述べ、環境や地域への配慮を欠いた開発を容認しない姿勢を示しました。一方で、「地域が関与して、自然と調和して問題がない場所を選んでやっていくのは、よい太陽光だ」と語りました。また、トランプ米大統領によるパリ協定離脱方針に関しては、「気候変動による災害の拡大を実感しており、米国が離脱しても世界全体で温暖化対策に取り組む必要がある」と述べ、国際的な連携の重要性を強調しました。

10. 25年東京マラソンの平年大きく上回る気温、気候変動で3倍起きやすく
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOSG24BKD0U5A021C2000000/(日本経済新聞、2025年10月28日)

米研究組織「クライメート・セントラル」は、2025年の東京マラソンでランナーが経験した高温は、人為的な気候変動により発生確率が3倍に高まっていたと分析しました。温暖化の進行により、2045年までに世界の主要マラソン大会の約86%で最適な気温条件が失われると予測されています。クライメート・セントラルは「理想的なレース条件を維持する最も効果的な方法は、化石燃料の排出を抑えるための有意義な行動を取ることだ」と指摘しました。
報告書詳細(英語):
https://www.climatecentral.org/report/marathon-performance

11. 各国の新気候計画、世界の温室効果ガス排出が減少に転換へ=国連
https://jp.reuters.com/markets/commodities/3EXPH4742JOG5FUYFHWWCXSI4Q-2025-1
0-28/
(ロイター、2025年10月28日)

国連は、各国の最新の気候計画によって世界の温室効果ガス排出量が初めて減少に転じ、2035年には2019年比で約10%減少する見通しであると発表しました。ただし、この削減幅は地球の気温上昇を産業革命前から1.5度以内に抑えるために必要な60%減には遠く及ばず、依然として不十分だと指摘しています。国連はCOP30に向け、各国が一層取り組みを強化し、排出削減の速度を上げる必要があると呼びかけています。

12. 猛暑による死者、世界で年55万人に迫る−英誌ランセット年次報告書
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-10-30/T4VAWMGOT0JK00(Bloomberg、2025年10月30日)

英医学誌「ランセット」の最新報告書によると、地球温暖化の進行により世界では年間約55万人が猛暑の影響で死亡しており、人口で調整した死者数は1990年代以降で20%以上増加しました。今年は欧州、アジア、米国で記録的な高温が続き、熱波の大半は気候変動がなければ発生しなかったとされています。猛暑による労働生産性の低下で2024年には世界で1兆ドルの所得損失が生じたとの推計も示され、科学者らは一部地域が人体の生存限界に近づいていると警告しています。

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【発信元】
気候変動イニシアティブ(JCI)事務局
activities@japanclimate.org