全体の12の項目は全て重要な課題でありましょうが、地域の中小企業者として気になったのは、その中の「9.地方の暮らしを守る (地域未来戦略)」の中身でした。

その一部を抜粋すると、
「国による一歩前に出た支援の結果、TSMCが進出した熊本県、ラピダスが立地した北海道では、関連する投資が誘発され、様々な経済効果が現れ始めています。こうした事例を、全国各地に次々と生み出していこうではありませんか。
地域を超えたビジネス展開を図る中堅企業を支援し、大胆な投資促進策とインフラ整備を一体的に講ずることで、地方に大規模な投資を呼び込み、地域ごとに産業クラスターを戦略的に形成していくことで、『地域未来戦略』を推進します。」
とあります。

地域の目線というより、霞ヶ関の目線からの発想のように感じてしまうのは私だけでしょうか?

以前から指摘しているようにこの国の経済の問題は、潤沢な資金(マネーストック)が供給されているにも拘わらず、資金が地域まで廻ってこないことであり、地域で循環していないことでありましょう。大規模な工場の誘致を否定するものではありませんが、立地条件を考えれば、どこの地域でもそれが可能なわけでなく、それ以外の地域は取り残されます。また、誘致活動は地域間競争を呼びかねません。「地域に雇用が生まれ、そこで働く人の消費が発生する」と、その効果がよく喧伝されます。が、人手不足の中で却って地元の企業には難しい状況をもたらす危険性もありますし、何より重要なことはそこに投資された資金の回収分がどこへ向かうかです。結局、資本を提供しているところへ配当あるいは金利として環流していくばかりでは地域はよくなりません。

地域にとっては、地域の中で廻るお金を増やし、その廻るスピードを上げることが重要です。いかに地域から漏れ出すお金を減らし、人とお金を地域に呼び込み、つなぎ廻すことです。 地域経済の好循環づくりです。国にはそのための施策をお願いしたいところです。

もちろん、地域経済の活性化策はエネルギーだけではありませんが、その中で全ての人と企業が使っているエネルギーの要素は大きく、エネルギーの使用量を減らし(=省エネ)と地元で賄えるエネルギーは地元で賄う(=再エネの地産地消)を進めるべきと繰り返し申しあげている所以です。

最近、ありがたいことに各地の商工会議所の方々から講演や視察の依頼が増えてきました。私が会頭を務める小田原箱根商工会議所では地域経済の好循環づくりに資するような取組みを進めています。そんな具体的な事例を紹介することと併せて、「地域の中小企業がエネルギーに取り組むべき3つの理由」というテーマでお話をしています。可能な限りどこでもいつでも対応いたしましますので、お声がけください。