1. 研究:気候変動の原因である二酸化炭素を貯蔵できる場所は、従来考えられていたより少ない
https://apnews.com/article/carbon-capture-storage-research-climate-change-c5ebd4f7c2d23e20526512e1ef338bef(英語)(AP通信、2025年9月4日)
Nature誌に掲載された新しい研究によると、世界の地下に安全に貯留できる二酸化炭素の量は従来の推定の10分の1程度で、炭素回収・貯留(CCS)の温暖化抑制効果は0.7度にとどまることがわかりました。研究者は、CCSは重要ですが限られた手段であり、温暖化対策では排出削減を最優先にすべきだと指摘しています。また、CCSは、セメントや航空など脱炭素が難しい分野で活用すべきだと述べています。
研究詳細(英語):https://www.nature.com/articles/s41586-025-09423-y
2. 2025年前半、サステナブルファンドが従来型ファンドを上回る成果
https://www.morganstanley.com/insights/articles/sustainable-funds-outperform-traditional-first-half-2025(英語)(Morgan Stanley、2025年9月8日)
モルガン・スタンレーの報告によると、2025年前半はサステナブルファンドの中央値リターンは12.5%で、伝統的ファンドの9.2%を上回りました。運用資産残高は前年末比11.5%増の3.92兆ドルに達し、欧州やグローバル市場への投資が好業績を支えました。一方、資金流入は前年より減少しましたが、長期的には依然としてサステナブル投資が優位を保っています。
3. 釧路メガソーラー 環境影響を懸念の声に対応可能か検討 環境省など
https://mainichi.jp/articles/20250909/k00/00m/020/258000c(毎日新聞、2025年9月9日、有料記事)
北海道の釧路湿原国立公園周辺でメガソーラーの建設が進み、自然環境への影響を懸念する声が高まっています。環境省は資源エネルギー庁と共同で連絡会を設置し、制度的な対応が可能か検討すると発表しました。
4. ISOとGHGプロトコル、GHG排出量基準統一のための戦略的提携を発表
https://www.jetro.go.jp/biznews/2025/09/1434cffe24688d4b.html(日本貿易振興機構(ジェトロ)、2025年9月12日)
国際標準化機構(ISO)とGHGプロトコルは、GHG排出量の算定と報告に関する新たな国際規格を共同で開発するパートナーシップを発表しました。両者は製品カーボンフットプリント規格も共同で策定に取り組むとしています。世界的な普及を通じて、実質的な排出削減の加速を目指しています。
発表詳細:https://www.iso.org/news/2025/09/iso-and-ghgp-partnership
5. 猛暑の欧州都市部で1万6500人死亡、気候変動で犠牲増えた可能性-調査
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-09-18/T2PYK4GOYMTJ00 (Bloomberg、2025年9月18日)
欧州はこの夏、記録的な猛暑に見舞われ、都市部で推計1万6500人が死亡しました。新たな調査によると、気候変動がなければ死者数は3分の1弱にとどまった可能性があります。研究者は「化石燃料を燃やし続ける限り、死者は増え続けるだろう」と警告しています。猛暑は心疾患や呼吸器疾患を悪化させ、高齢者への影響が特に大きく、熱波による死者の80%以上が65歳以上でした。
調査詳細(英語):https://www.lshtm.ac.uk/newsevents/news/2025/climate-change-driven-summer-heat-caused-16500-additional-deaths-across-europe
6. 太陽光パネルのリサイクルに「制度的基盤を」 企業団体、政府に要望
https://www.asahi.com/articles/AST9L13JZT9LUTFL003M.htmlmsockid=171ea96c53256d312f4aba6d52d76cc5(朝日新聞、2025年9月18日)
気候変動対策に積極的な企業団体「日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)」は18日、すべての発電事業者が太陽光パネルのリサイクルに取り組めるよう、制度設計を強く求める意見書を発表しました。パネルは寿命が20〜30年で2030年代後半から大量廃棄が見込まれます。政府は製造業者へのリサイクル義務化を検討しましたが、費用負担の制度づくりが難航し、法案提出を断念していました。
関連記事:太陽光パネルのリサイクル法案難航
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA296TM0Z20C25A9000000/
7. オーストラリアが温室効果ガス削減加速へ、35年までに05年比62−70%減
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-09-19/T2RPI5GOT0JR00(Bloomberg、2025年9月19日)
オーストラリア政府は、2035年までに温室効果ガス排出量を2005年比62〜70%削減するという新目標を発表しました。アルバニージー首相は、これは科学的根拠と目標達成可能な計画に基づくものであり、環境保護と経済成長の両立を目指すと強調しています。実現に向けて、再生可能エネルギーの導入拡大、送電網の増強、クリーン燃料の利用促進を進めるほか、国家再生基金に50億豪ドルを投じ、重工業の排出削減や新
たな再エネ技術開発を支援する方針です。さらに、燃費基準の見直しやEV充電インフラの強化にも取り組むとしています。
8. クライメート・ウィーク・ニューヨーク、米国の政治的逆風を乗り越えて進展を見せる
https://www.newsweek.com/climate-week-nyc-powers-despite-unfriendly-political-headwinds-us-2132513(英語) (Newsweek、2025年9月19日)
9月にニューヨークで開催されたClimate Week NYC 2025は、過去最大となる1,000以上のイベントで盛り上がり、気候変動対策への世界的関心の高さを示しました。連邦政府の支援縮小にもかかわらず、州や自治体、企業が主導してクリーンエネルギー投資や地域での気候対応に取り組んでいます。米国外では、中国を中心に再生可能エネルギーやEVの導入が加速しています。
9. 気候変動対策は「世界史上最大の詐欺」 トランプ氏が国連演説で主張
https://mainichi.jp/articles/20250924/k00/00m/030/030000c
(毎日新聞、2025年9月24日)
トランプ米大統領は国連総会で、気候変動対策を「世界史上最大の詐欺」と批判し、パリ協定離脱を正当化しました。再生可能エネルギーを「高価で機能しない」と非難し、石炭を「クリーンで美しい」と称賛しました。一方、この発言はIPCCなどの科学的知見を根拠なく否定する内容です。国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は、新規再エネの大半が化石燃料よりコスト効率に優れると報告しています。同日の討論では、インドネシアのプラボウォ大統領が海面上昇への危機感を訴え、ブラジルのルラ大統領はCOP30議長国として野心的な削減目標策定を呼びかけました。
10. ブラジルのルラ大統領、熱帯林保護基金への10億ドル投資発表
https://jp.reuters.com/world/environment/AF74MUM7MZMORFPBKZ43NAAQFE-2025-09-
24/(ロイター、2025年9月24日)
ブラジルのルラ大統領は第80回国連総会で、絶滅の危機に瀕した森林の保護を支援するために同国が提案している多国間資金メカニズム「熱帯林フォーエバー・ファシリティ(TFFF)」に10億ドルを投資すると発表しました。TFFFは11月にブラジル・ベレンで開催されるCOP30で正式な発足が見込まれます。ルラ大統領は他国にも基金への投資を呼びかけ、いくつかの国もこの基金を支援する考えを示しています。
11. 国連事務総長、新たな気候対策計画を要請 「より迅速で大幅に」
https://jp.reuters.com/markets/commodities/MIGROELBHRJJVF6OOLHVI6QEHI-2025-09-25/(ロイター、2025年9月25日)
国連のグテレス事務総長は、気候変動に関する首脳会議(サミット)のなかで、気候変動対策の国際的枠組み「パリ協定」の全締約国に対し、2035年までにより迅速かつ大幅な排出削減を実現する新たな気候変動対策計画を策定するよう求めました。同氏は、パリ協定により各国の気候変動対策計画が実施された場合の気温上昇予想は4度から2.6度に低下したと指摘し、「今度は35年に向け、より大幅で迅速な新計画が必要だ」と述べました。
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【発信元】
気候変動イニシアティブ(JCI)事務局
activities@japanclimate.org