少し旧いデータですが、2017年 日本の一次エネルギーの使用(これはエネルギーを供給する側からの見方です)は、電力生成が4割、それ以外が6割を占めています。一方、使用側からみてみると、電力生成に使われた4割のエネルギーのうち、発送電のロスにより実際電気エネルギーとして最終的に使用されるのは3割となります。電力生成以外の熱エネルギーはロスがないとすると、残りの7割が電力以外に使われている熱エネルギーという事もできます。いずれにしてもエネルギーは熱としての方が電気より多いことになります。熱として使われる部分の内訳をみてみると、運輸部門3割、民生部門2割、産業部門5割となります。

省エネの観点から私たちにとって考える部分は民生部門、産業用のうち200℃以下で熱を使う低温領域での熱の使い方を見ることとします。

省エネ診断を実施してみると熱使用は給湯、暖房に使われるケースが多いです。熱の使い方では大気熱、地下熱、廃熱など、温度は高くないが豊富にある熱エネルギーを汲み上げて暖冷房に使用するヒートポンプ式エアコン、同じ原理で湯を沸かすエコキュートが代表例となります。ヒートポンプは使用電気エネルギーの3倍以上のエネルギーを得ることができますので大変効率の良いものとなります。比較してみると重油を熱に変換する際は使用エネルギーの8割以下程度しかエネルギーを得ることができません。

このような観点から補助金制度も高効率空調設備の他にも燃料転換に対して国からは以下の補助金が用意されています。自治体からも同様な燃料転換に対する補助金が用意されている場合もあります。

資源エネルギー庁 令和6年度補正予算における省エネ支援パッケージ
令和6年度⼆酸化炭素排出抑制対策事業費等補助⾦ (⼯場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT事業)) 省CO2型設備更新⽀援C(中⼩企業事業)6次公募 公募要領  

空気熱源ヒートポンプは外気温に効率が左右されますので、他の熱源とのハイブリッド方式も有効な手立てとなります。例えば、太陽熱で水を温めて、足りない部分はヒートポンプで大気の熱を汲み上げるハイブリッド方式も大変効率の良いものと考えられます。太陽光発電も組み合わせれば更にランニングコスト低減となります。

熱利用は少し工夫を要する部分もありますので省エネ診断を有効に利用して効果的な熱利用法を考えることをお勧めします。