1. 世界で暑過ぎる夏、2100年には損失600兆円 鉄道・電力・農業に打撃
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOSG055HC0V00C25A6000000/
(日本経済新聞、2025年7月3日、有料記事)
世界的に酷暑が続いています。日本の6月は観測史上最も暑く、7月も猛暑日が続きました。欧州でも40度超の猛暑となり、警報が出されています。日本の高温は人為的温暖化の影響と指摘され、気候変動への関心は選挙でも高まっています。
記事の有料部分では、異常気象のインフラへの影響、日本のインフラの脆弱性、農作物の不作や食料価格高騰、世界経済への影響、政治的関心の高まりなどについて詳しく紹介しています。
2. 太陽光がEU域内発電量で初の首位 原発や風力抜く
https://jp.reuters.com/markets/commodities/NLASWCOXZFLWXIUME7ILP2ONWE-2025-07-10/
(ロイター、2025年7月10日)
エネルギー関連シンクタンクの英エンバーはEU域内で今年6月、太陽光発電が初めて発電量で首位に立ったと発表しました。石炭による発電量は過去最低となりました。エンバーのアナリストは「今回の結果はEUの電力系統がいかに速く変化しているかを示している」と指摘し、「太陽光発電は、夏の熱波や需要ピーク時など最も必要とされる時にその力を発揮する」としています。
報告書詳細(英語):
https://ember-energy.org/latest-insights/solar-is-eus-biggest-power-source-for-the-first-time-ever/
3. 経済合理性を失う石炭火力発電、トランプ政権は延命に固執
https://www.technologyreview.jp/s/364067/ (MIT Tech Review、2025年7月21日)
米国の石炭火力発電所はかつて安価な電力として送電網を支えてきましたが、経済的理由や環境問題から多くが閉鎖されています。トランプ政権は送電網の安定確保を理由に一部の閉鎖を延期しましたが、エネルギーシンクタンクは、ほぼすべてのケースで既存の石炭火力発電所を稼働し続けるよりも、新しい再生可能エネルギー施設の建設がより安価であると指摘しています。今後は需要の柔軟な調整やバッテリーの活用が送電網の安定に重要となる見込みです。
4. 気候行動に関するアントニオ・グテーレス国連事務総長の特別演説「機会の時:クリーンエネルギー時代を加速させる」
https://www.unic.or.jp/news_press/messages_speeches/sg/52479/ (国際連合広報センター、2025年7月22日)
国連のグテーレス事務総長は国連本部で記者会見を開き、世界は石油などの化石燃料からクリーンエネルギーへの転換点に立っているとする報告書を発表し、各国や企業にさらなる取り組みを呼びかけました。太陽光や風力のコスト低下と普及が進み、経済成長やエネルギー安全保障にも貢献している一方、公正な移行や開発途上国への支援が不足している現状を指摘し、気候計画の強化、インフラ整備、電力需要対応、公正な移行、貿易・投資政策の改革、国際金融の活用など6つの重点分野で迅速かつ公平な行動を求めました。
- 4-1. 国連報告書「機会の瞬間を掴む」(英語)
https://www.un.org/en/climatechange/moment-opportunity-2025
同日発表された国連の新報告書によると、太陽光と風力は現在、ほぼ常に新規発電において最も安価で、かつ最も迅速な選択肢となっています。2023年までに新規設置された大規模太陽光発電および陸上風力発電設備の約96%は新規化石燃料発電所よりも低コストであり、約75%は既存の化石燃料施設よりも安価な電力を提供しました。
- 4-2. IRENA報告書「2024年の再生可能エネルギー発電コスト」
https://www.irena.org/News/pressreleases/2025/Jul/91-Percent-of-New-Renewable-Projects-Now-Cheaper-Than-Fossil-Fuels-Alternatives-JP
国際再生可能エネルギー機関(IRENA)が発表した報告書では、昨年稼働を開始した新規再エネ発電プロジェクトの91%が、新たな化石燃料代替プロジェクトよりもコスト効率が高かったことが示されました。582GWの再エネ発電容量追加により、約570億米ドル相当の化石燃料使用が回避されたとしています。
5. 海面上昇で消滅危機のツバル、国民の9割近くが豪州への移住ビザ希望
https://www.asahi.com/articles/AST7R46J4T7RUHBI007M.html (朝日新聞、2025年7月23日、有料記事)
気候変動による海面上昇で国土が消失する恐れがある南太平洋の島国ツバルで、オーストラリアへの移住ビザを希望する人が人口の9割近くに上りました。国連開発基金(UNDP)などによると、九つの環礁からなるツバルは、標高が最も高い所でも4.6メートルしかなく、対策が進まなかった場合、2100年には国土の95%が水没すると予測されています。
6. 気候変動による異常気象で食料品価格が高騰、社会に広範なリスクもたらす 新研究
https://www.cnn.co.jp/world/35235838.html (CNN、2025年7月23日)
気候変動による異常気象が、世界各地で基本的な食料品の価格を押し上げ、社会全体への深刻なリスクをもたらしているとする研究結果が新たに発表されました。特に低所得層の健康に悪影響を及ぼすリスクが懸念されています。研究者は、温室効果ガスの排出を実質ゼロにしない限り、食料価格の高騰はさらに深刻化すると警告しています。
7. 持続可能な環境は「人権」 ICJ、気候変動対策の「各国義務」勧告
https://digital.asahi.com/sp/articles/AST7R55W5T7RUHBI02RM.html?_requesturl=articles%2FAST7R55W5T7RUHBI02RM.html (朝日新聞、2025年7月24日)
国際司法裁判所(ICJ)は気候変動対策に関して、「各国は人為的な温室効果ガスの排出から環境を保護する国際法上の義務がある」とする勧告的意見を言い渡しました。気候変動について、ICJが国家の国際法上の義務を認めたのは初めてです。ICJは気候変動を「緊急かつ(人類の)存続に関わる脅威」と位置づけ、国際人権法や国際慣習法も、気候変動に関する条約とともに適用されるとしました。この意見には法的拘束力はないものの、各国の政策や気候変動に関する裁判に影響を与える可能性があります。
8. SBTiが金融業界向け「ネットゼロ」の新基準 石炭事業への新規の融資停止が条件
https://project.nikkeibp.co.jp/ESG/forecast/atcl/news/072300041/ (日経BP、2025年7月24日)
SBTiは7月22日、「金融機関ネットゼロ基準(FINZ)」を発表しました。新基準では、投融資方針として「化石燃料からの移行」を掲げることを金融機関に求め、石炭関連事業に対する新規の融資や保険を提供しないことや、30年までに石油・ガス会社に対する融資や保険を終了することを方針に掲げなければならないとしています。
SBTiの発表によれば、6大陸の約135の金融機関が、この基準に基づいてネットゼロ目標を設定することを表明しているということです。
新基準詳細(英語):https://sciencebasedtargets.org/financial-institutions
9. 温室ガス排出規制の根拠を取り消し方針 気候対策後退 トランプ政権
https://mainichi.jp/articles/20250730/k00/00m/030/010000c (毎日新聞、2025年7月30日)
米トランプ政権は、温室効果ガス規制の根拠となる「危険認定」を撤回する方針を示しました。最終決定されれば、気候変動対策や環境規制を後退させてきた同政権の中でも、最も大きな影響が生じる可能性があります。世界資源研究所(WRI)は、「市民、環境、経済の保護を危険にさらす行為」だと非難しています。また、国際司法裁判所が7月23日に発表した温室効果ガス削減義務に関する勧告にも逆行する動きです。
これを受けて、米国気候同盟は、「米国民は真実を知る権利があり、研究を隠したり科学者を解雇したりしても、事実は変わらない」とする声明を発表しました。また、America Is All In もこの方針を非難する声明を発表しています。
声明全文(英語):
https://usclimatealliance.org/press-releases/u-s-climate-alliance-on-epas-climate-denial-and-science-office-closure-americans-deserve-the-truth/ (米国気候同盟)
https://www.americaisallin.com/leaders-across-us-condemn-epa-reneging-its-duty-protect-americans-climate-pollution(America Is All In)
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【発信元】
気候変動イニシアティブ(JCI)事務局
activities@japanclimate.org