馬場さんに依頼したのは各地で食のワークショップを手掛けてきた実績をお持ちだから。これまで岐阜県高山市「宿儺かぼちゃ」、兵庫県豊岡市「コウノトリ育む米」、秋田県能代市「ねぎ」、茨城県小美玉市「レンコン」などを始め数多くある。自宅にキッチンスタジオをお持ちで料理教室をされている。同時に料理家や生産者を招いての料理会の開催、また生産地に出かけて現地視察などもされている。料理本の著作も多くある。
馬場香織さんとは、ZOOMで現地と会議をし、メインの食材を馬場さんに送りレシピを作ってもらい、当日、東京から入り現場に臨むという形がとられた。
地元の食材「ねばりっこ(長芋)」、ジビエ(イノシシ)、ワサビを中心に、特産の「ほし柿」、「三朝神倉大豆(「神のつぼみ」大豆水煮)」などの食材を組み合わせ、みんなが実際に料理を作る。1日目は仕込み、2日目は関係者を招いてのお披露目。その前に、「ねばりっこ」は、生産者の堀本良子さんが、猪肉は、猪の解体から精肉にして販売をしている「日本猪牧場」のプロモーションと販売を手掛ける徳岡遙さんが、それぞれパワーポイントを使い、1日目と2日目の2度、食材の紹介を行った。

「ねばりっこ」の紹介をする堀本良子さん

猪肉を紹介する徳岡遙さん
「ねばりっこ」は、平成 17 年に鳥取県園芸試験場育成の新品種として導入されたもの。粘りが強くアクが少ないのが特徴。地域での栽培も多くなっている。味わいも豊か。それ以前は、北栄町の「砂丘ながいも」が多く栽培されていた。砂丘地の特性を生かし早掘栽培による有利販売を進め、昭和 40 年代半ばには栽培面積は 250ha に達する。しかし昭和50年代には、他県産地の作付面積拡大や冷蔵貯蔵施設の整備による周年出荷体制が進み早掘栽培の優位性がなくなり市場価格の低迷に伴い栽培面積は減少に転じたという経緯がある。だが堀本良子さんに言わせると、市場に多くでている他県の長芋に比べ「砂丘ながいも」は、味わいもよく上質のもので、これもぜひ知ってほしいと語った。
「日本猪牧場」の徳岡遙さんは、嫁いできて、義父の猪精肉の販売と紹介の仕事を手掛けるようになった。が、最初は、猪は臭くて嫌だと思っていたという。ところが捕獲から敏速な解体処理まで、衛生管理された施設、正確な技術で上質な精肉になることを知った。臭みもない。ジビエの評価は高い。市・県・国もジビエを推奨している。しかし十分に知られていない。多くの人に広めたいとワークショップに参加したという。
現場に携わる女性が食材を紹介したことで説得力が増し料理を引き立てるものとなった。
できた料理は、馬場香織さんが紹介し、参加者と招いた関係者、JA鳥取、学校給食センター、お菓子店、鳥取県三朝町・地域おこし協力隊などのかたたちとの試食会となる。
「日本猪牧場」の徳岡遙さんは、嫁いできて、義父の猪精肉の販売と紹介の仕事を手掛けるようになった。が、最初は、猪は臭くて嫌だと思っていたという。ところが捕獲から敏速な解体処理まで、衛生管理された施設、正確な技術で上質な精肉になることを知った。臭みもない。ジビエの評価は高い。市・県・国もジビエを推奨している。しかし十分に知られていない。多くの人に広めたいとワークショップに参加したという。
現場に携わる女性が食材を紹介したことで説得力が増し料理を引き立てるものとなった。
できた料理は、馬場香織さんが紹介し、参加者と招いた関係者、JA鳥取、学校給食センター、お菓子店、鳥取県三朝町・地域おこし協力隊などのかたたちとの試食会となる。

料理紹介をする馬場香織さん

地場食材で多彩な料理が参加型で生まれる
並んだ料理は全部で20種類。レシピで17品目。当日、ちょっと余った食材が、もったいないと、ありもので作られた当日即興の料理が3品目。
猪をメインにしたもの
「猪肉のシェパーズパイ」「猪肉の肉煮込みうどん」「猪肉の肩ロース煮込み」
「猪肉の叉焼(チャーシュー)」「猪肉の三枚肉のニンニクソース」「猪肉の酒かす漬け」「炒芦菜猪(猪肉とセロリの炒めもの)」。
並んだ料理は全部で20種類。レシピで17品目。当日、ちょっと余った食材が、もったいないと、ありもので作られた当日即興の料理が3品目。
猪をメインにしたもの
「猪肉のシェパーズパイ」「猪肉の肉煮込みうどん」「猪肉の肩ロース煮込み」
「猪肉の叉焼(チャーシュー)」「猪肉の三枚肉のニンニクソース」「猪肉の酒かす漬け」「炒芦菜猪(猪肉とセロリの炒めもの)」。

猪の叉焼

猪肉三枚肉の大蒜ソース

猪肉肩ロースの煮込み
地元にあるようでなかった料理登場で好評を博す
ねばりっこをメインにしたもの。
「ねばりっこきんとん」「ねばりっこのわさび醤油漬け」「ねばりっこわさび丼」
「ねばりっこ羊かん」「八方とろろ」。
ねばりっこをメインにしたもの。
「ねばりっこきんとん」「ねばりっこのわさび醤油漬け」「ねばりっこわさび丼」
「ねばりっこ羊かん」「八方とろろ」。

人気の高かった「「ねばりっこ羊羹」

「ねばりっこ干しきんとん」

「ねばりっこのわさび醤油漬け」
わさびをメインにしたもの。
「ささ身のわさびピカタ」「わさびドレッシング」「ニジマスのステーキ」「ニジマスとワサビと白ネギのあえもの」。
「ささ身のわさびピカタ」「わさびドレッシング」「ニジマスのステーキ」「ニジマスとワサビと白ネギのあえもの」。

ニジマスのステーキ

ニジマスとワサビと白ネギのあえもの
大豆をメインにしたもの「大豆のディップ」。
当日は、地元のケーブルテレビが入り、20分の番組として放映された。
当日は、地元のケーブルテレビが入り、20分の番組として放映された。

大豆のディップ

ねばりっこのわさび丼
参加の方々にアンケートがとられた。満足度は5段階で、5が77.8%。4が22.2%となった。
感想には「レストランを何店もはしごしたみたい!」「美味しかったです。胃袋の容量が足りませんでした」「どの料理も本当に美味しくて感動しました!」「生産者の方のお話を聞け、とてもいい機会となりました。どの料理も美味しかったです」「イノシシ肉がこんなに美味しいなんてびっくりしました。生産者さんの話は普段聞けないので、面白かったですし、生産者さんたちのお陰で頂けていることに改めて感謝しました。先生の盛り付けが素敵でした。あと器も大事、目で食べていることを先生から教わりました。馬場先生、またぜひ倉吉に来て下さい!」「今後どのように展開して行けるのが、楽しみな会でした」など、賛同の言葉が寄せられた。
できた料理は写真を撮り、レシピと組み合わせ、同時に食材の背景と履歴を入れてテキスト化し、それを共有し、誰もが素材の特徴と料理までを提案できるようにする。こうすれば、地元の食材の特徴と食べ方までがわかる。参加した人たちでの家庭での料理、ビュッフェパーティ、イベントなどにも多様に使うことができる。農産物直売所では、レシピ付きで食べ方も提案できる。訴求効果も高いというわけだ。また地域の料理店、食品店と連携で商品開発にもつながる。ビュッフェレストランもできる。今後、食材にあわせ四季ごとに行ってもらいたいことを話した。
料理ワークショップの詳細は、すぐさまテキストが作成され、そのあとレシピは「クックパット」でも公開された。
◆令和6年度倉吉プロジェクト 倉吉の魅力発見事業食のワークショップ実施報告書
◆CookPadレシピ公開
感想には「レストランを何店もはしごしたみたい!」「美味しかったです。胃袋の容量が足りませんでした」「どの料理も本当に美味しくて感動しました!」「生産者の方のお話を聞け、とてもいい機会となりました。どの料理も美味しかったです」「イノシシ肉がこんなに美味しいなんてびっくりしました。生産者さんの話は普段聞けないので、面白かったですし、生産者さんたちのお陰で頂けていることに改めて感謝しました。先生の盛り付けが素敵でした。あと器も大事、目で食べていることを先生から教わりました。馬場先生、またぜひ倉吉に来て下さい!」「今後どのように展開して行けるのが、楽しみな会でした」など、賛同の言葉が寄せられた。
できた料理は写真を撮り、レシピと組み合わせ、同時に食材の背景と履歴を入れてテキスト化し、それを共有し、誰もが素材の特徴と料理までを提案できるようにする。こうすれば、地元の食材の特徴と食べ方までがわかる。参加した人たちでの家庭での料理、ビュッフェパーティ、イベントなどにも多様に使うことができる。農産物直売所では、レシピ付きで食べ方も提案できる。訴求効果も高いというわけだ。また地域の料理店、食品店と連携で商品開発にもつながる。ビュッフェレストランもできる。今後、食材にあわせ四季ごとに行ってもらいたいことを話した。
料理ワークショップの詳細は、すぐさまテキストが作成され、そのあとレシピは「クックパット」でも公開された。
◆令和6年度倉吉プロジェクト 倉吉の魅力発見事業食のワークショップ実施報告書
◆CookPadレシピ公開

好評だった試食会

地方創生の人材育成事業が地域の人を繋ぐ
鳥取県倉吉市からの依頼は農業振興のアドバイス。実は、小田急電鉄株式会社経由からだった。そこから現地に赴き、主要産物の、梨、スイカ、わさび、猪の精肉工房の農家の現地を視察させていただいた。いずれも農業の大きな力となっているもの。そこから食材のテキストを作成してもらえるようお願いした。栽培歴、品種、味、見た目、香り、色合い、生産量、生産者、出荷量、食べ方など入れ販売訴求を行うものだ。さらに地場食材をメインにワークショップを提案。それが今回の猪とねばりっこへと繋がったというわけだ。テキスト作成は、鳥取県農林水産部農業振興局経営支援課・農業普及推進室の前田香那子さんの協力によるもの。
わさびは、標高1、792mの大山(だいせん)から流れる清流の中で栽培される最上のもの。猪も、レベルの高い精肉がされている。しかし地元では、あまりたべられていない。新たな食べ方を広げたいという要望もあった。
農業振興と地域商材開発が目的だが、まずは、身近な食の履歴や生産物を知り、地域で豊な発信ができるようにと取り組んだのが、食のワークショップというわけだ。
今回のコーディネートは、倉吉市総務部企画課美術館まちづくり推進室室長木藤隆親さんと、2024年に作られた「つなぐ株式会社」のメンバー。増田千佳子さん(オフィスクリエイト事業やパソコン教室事業を営む『スイコー株式会社』取締役)、深谷晋一さん(倉吉の酒問屋『株式会社フカヤ』代表取締役社長)、松尾洋平さん(倉吉の老舗建材会社『松尾建材』四代目)の3名が立ち上げた会社。3人は地域住民による自走型の地方創生の実現を目標に実施された中核人材育成プログラム「iVision Session」の参加メンバー。そこで知り合い意気投合して生まれた。さらに今回のワークショップのアシスタントとして入ったのは、同じ学びの場で知り合ったフリーのWEBデザイナー田邊温子さんだ。
実は、2023年1月、倉吉市と小田急電鉄㈱が包括連携協定を締結。目的は地域価値創造型人材の創出を基軸に持続的なまちづくりへの推進。そのなかで実施されたひとつが「中核人材育成事業/ iVision Session」。4回開催され約150名が参加した。
ほかに「倉吉の魅力発見・データ整備事業」では、株式会社 EDITORS の専門家チームと倉吉市民が街の特徴・魅力を引き出した町のガイド「倉吉本」の制作・発売。
若年層・女性を対象とした「デジタル教育事業」。市外へ発注してきた地域サイトの運営等の内製化による市内就労の創出や、地域ITコンテンツの運営体制の構築。
「バーチャル倉吉事業」では、鳥取県立美術館(2025年3月開館)を活用した観光事業強化に向けた、オンラインでの文化・芸術振興を行い、リアルとデジタルの相互利用による新たな観光体験の提供と関係人口の創出などが実施されている。
背景には、倉吉市は人口43,652人(2025年)で、2014年49、332人から5、680人減。高齢化率36.3%となっている。少子高齢化と大都市圏への生産年齢人口の流出という課題に直面していることから地方創生を担う人材の育成と活躍できる環境づくりを目的としたものだ。これらの課題は、多くの地方自治体でも抱えているものだ。
国が推進している地方創生の「まち・ひと・しごと総合戦略」を倉吉市も取り組むこととなっている。
鳥取県倉吉市からの依頼は農業振興のアドバイス。実は、小田急電鉄株式会社経由からだった。そこから現地に赴き、主要産物の、梨、スイカ、わさび、猪の精肉工房の農家の現地を視察させていただいた。いずれも農業の大きな力となっているもの。そこから食材のテキストを作成してもらえるようお願いした。栽培歴、品種、味、見た目、香り、色合い、生産量、生産者、出荷量、食べ方など入れ販売訴求を行うものだ。さらに地場食材をメインにワークショップを提案。それが今回の猪とねばりっこへと繋がったというわけだ。テキスト作成は、鳥取県農林水産部農業振興局経営支援課・農業普及推進室の前田香那子さんの協力によるもの。
わさびは、標高1、792mの大山(だいせん)から流れる清流の中で栽培される最上のもの。猪も、レベルの高い精肉がされている。しかし地元では、あまりたべられていない。新たな食べ方を広げたいという要望もあった。
農業振興と地域商材開発が目的だが、まずは、身近な食の履歴や生産物を知り、地域で豊な発信ができるようにと取り組んだのが、食のワークショップというわけだ。
今回のコーディネートは、倉吉市総務部企画課美術館まちづくり推進室室長木藤隆親さんと、2024年に作られた「つなぐ株式会社」のメンバー。増田千佳子さん(オフィスクリエイト事業やパソコン教室事業を営む『スイコー株式会社』取締役)、深谷晋一さん(倉吉の酒問屋『株式会社フカヤ』代表取締役社長)、松尾洋平さん(倉吉の老舗建材会社『松尾建材』四代目)の3名が立ち上げた会社。3人は地域住民による自走型の地方創生の実現を目標に実施された中核人材育成プログラム「iVision Session」の参加メンバー。そこで知り合い意気投合して生まれた。さらに今回のワークショップのアシスタントとして入ったのは、同じ学びの場で知り合ったフリーのWEBデザイナー田邊温子さんだ。
実は、2023年1月、倉吉市と小田急電鉄㈱が包括連携協定を締結。目的は地域価値創造型人材の創出を基軸に持続的なまちづくりへの推進。そのなかで実施されたひとつが「中核人材育成事業/ iVision Session」。4回開催され約150名が参加した。
ほかに「倉吉の魅力発見・データ整備事業」では、株式会社 EDITORS の専門家チームと倉吉市民が街の特徴・魅力を引き出した町のガイド「倉吉本」の制作・発売。
若年層・女性を対象とした「デジタル教育事業」。市外へ発注してきた地域サイトの運営等の内製化による市内就労の創出や、地域ITコンテンツの運営体制の構築。
「バーチャル倉吉事業」では、鳥取県立美術館(2025年3月開館)を活用した観光事業強化に向けた、オンラインでの文化・芸術振興を行い、リアルとデジタルの相互利用による新たな観光体験の提供と関係人口の創出などが実施されている。
背景には、倉吉市は人口43,652人(2025年)で、2014年49、332人から5、680人減。高齢化率36.3%となっている。少子高齢化と大都市圏への生産年齢人口の流出という課題に直面していることから地方創生を担う人材の育成と活躍できる環境づくりを目的としたものだ。これらの課題は、多くの地方自治体でも抱えているものだ。
国が推進している地方創生の「まち・ひと・しごと総合戦略」を倉吉市も取り組むこととなっている。

増田千佳子さん(左)と馬場香織さん(右)
増田千佳子さんは「小田急電鉄さんと倉吉市の協定は5年。そのあとプロジェクトを進め自走してく組織が必要と、3人が出資して会社を創りました。地域商材の開発や女性事業支援などを目指しています」と語る。
このテキストをベースに今後の展開として
1・農産物直売所などで、食材の背景からレシピ提案。
2・四季ごとに、変わる地場産食材でのブッフェレストラン(これは、長崎県大村市「おおむら夢ファームシュシュ」)、福岡県遠賀郡岡垣町「グラノ24Kぶどうの木」、三重県伊賀市「伊賀の里モクモク手作りファーム」、大分県日田市「大分大山農業協同組合」などが実施しており山間地でも大きな集客と観光と経済にも繋がっている)
3・ワークショップから連携しての地元の料理店・食品会社・JAなどでの商品開発。
4・地元のメンバー今回の主催「つなぐ」がメインで大阪・東京でのプロモーション。
食のテキスト、ワークショップでの料理・食べ方まで提案。対象を、バイヤー、メディア、食関係者対象。(馬場香織さんのワークショップと食のテキスト、生産家、行政連携で大きく知られるようになったのが、兵庫県豊岡市「コウノトリ育むコメ」、岐阜県高山市「宿儺かぼちゃ」などがある)
(註:この原稿は、「月刊NOSAI」(全国農業共済協会)2025年5月号「農と食で高める地域の力:鳥取県倉吉市で開催食のワークショップ」に、一部追加補正して掲載しています)
1・農産物直売所などで、食材の背景からレシピ提案。
2・四季ごとに、変わる地場産食材でのブッフェレストラン(これは、長崎県大村市「おおむら夢ファームシュシュ」)、福岡県遠賀郡岡垣町「グラノ24Kぶどうの木」、三重県伊賀市「伊賀の里モクモク手作りファーム」、大分県日田市「大分大山農業協同組合」などが実施しており山間地でも大きな集客と観光と経済にも繋がっている)
3・ワークショップから連携しての地元の料理店・食品会社・JAなどでの商品開発。
4・地元のメンバー今回の主催「つなぐ」がメインで大阪・東京でのプロモーション。
食のテキスト、ワークショップでの料理・食べ方まで提案。対象を、バイヤー、メディア、食関係者対象。(馬場香織さんのワークショップと食のテキスト、生産家、行政連携で大きく知られるようになったのが、兵庫県豊岡市「コウノトリ育むコメ」、岐阜県高山市「宿儺かぼちゃ」などがある)
(註:この原稿は、「月刊NOSAI」(全国農業共済協会)2025年5月号「農と食で高める地域の力:鳥取県倉吉市で開催食のワークショップ」に、一部追加補正して掲載しています)