宇宙ゴミとは役割が終わった人工衛星とその破片のことで、現在、地球を周回する軌道には稼働中の衛星が約1万、宇宙監視ネットワークによって追跡されている破片は約3万個、さらには追跡されていない小型の直径10cm以上で5万個以上、1cm以上のものは120万個以上存在すると推定されていて、その会社の仕事は、それらのデブリを誘導して大気圏に突入させ、炎上消滅させることなのだそうです。
近年では新たに打ち上げるロケットや衛星がゴミ化するのを防ぐために、あらかじめ軌道離脱用のエンジンやその他の機構を搭載し、運用終了後には大気圏へ再突入させることで、軌道上に不要な物体を残さないようにしているのだそうですが、それでもなおスペースデブリの総量は増加し続けているのだそうです。
それが何が問題かというと、既存のデブリ同士やデブリと人工衛星の衝突による破片の増加が進み、一部の軌道を利用できなくなり、広く社会生活と経済活動に大きな悪影響を及ぼす危険性がある。たとえば 、GPSの位置情報サービスが停止すれば、車のナビや船舶の運航に支障が生じる。天気予報や災害対策などにも深刻な影響が及ぶ可能性もある。時刻同期の基準としても使用されているため、金融機関の株式・債券・為替取引や銀行間決済などでエラーや遅延、業務停止のリスクが高まるのだそうです。
便利さを追求して、新しい科学技術を開発し実社会に導入していく裏側で、負の資産を増やしてしまうということはありがちです。原発の使用済み核燃料のことを思い出しました。
新しい技術により、より豊かで便利な暮らしを実現する新しい商品サービスを提供するために、地球の自然資産あるいは自然資本を使い放題使うといういわば「動脈産業」が経済成長を牽引してきました。その裏側で人知れず(人の分からないように)山積する廃棄物や未利用資源は放置してきました。気候危機が切迫するこれからの時代は「動脈産業」だけでなく、これまで負の資産として放置してきたものを資源として捉え、どうそれらに新たな価値を付加してビジネスとしてお金を廻していくか、事業化するか、いわば「静脈産業」が必要であり、それらが成長産業になると思います。
使用済み核燃料のことを放置したまま原発に回帰しようとしているこの国のエネルギー政策を考える時、「静脈産業」というキーワードが思い起こされるのです。本当の持続可能とは何か?と