1. コラム|エネルギーにおける新たな地政学(6/10掲載)
トーマス・コーベリエル 自然エネルギー財団 理事長


ロシアのウクライナ侵攻後、輸入燃料依存がもたらす経済的な痛みが改めて明らかになった。特にヨーロッパと日本は、化石燃料とウランの価格が上昇し苦境に立たされた。燃料への依存を避けることは、多くの国にとって再び優先順位の高い課題となっている。気候保護の理由もあるが、やはり問題なのは、国家の自立のためである。

ヨーロッパでは、ウランと核燃料の供給が予想以上に問題になっている。ロシアは、その同盟国であるカザフスタンやウズベキスタンとともに、世界のウラン採掘の半分以上を支配している。欧州はニジェールからウラン供給の4分の1を得ることに成功していたが、ロシアとそのワグネル傭兵が支援する軍事クーデターが起きてからは、それも難しくなった。その結果、ウランの世界市場価格は1ポンドあたり30ドルから90ドルに上昇した。

燃料の輸入が止まれば、在庫がなくなり、暖房、電気、輸送システムが機能しなくなる。 しかし、今日の世界は20世紀よりも対応力が整っている。代替となる自然エネルギーによる発電のコストは下がり、導入は加速している。国際エネルギー機関(IEA)の報告によれば、自然エネルギーによる電力は現在、ほとんどすべての地域で最も安価な電力源となっている。ファティ・ビロルIEA事務局長は最近、自然エネルギーの普及を加速させれば、エネルギーコストは下がるだろうと結論づけた。上昇するのではなく、である。

もっと読む

2. 来週開催|脱炭素へのエネルギー転換シナリオを考える:エネルギー基本計画は何をめざすべきか(6/21ハイブリッド)

自然エネルギー財団は、6月21日(金)に、6月中旬に公表する新たな「脱炭素へのエネルギー転換シナリオ」の内容を紹介し、議論するシンポジウムを開催します。この転換シナリオでは、大量の太陽光発電と風力発電を導入するとともに、蓄電池の積極的な活用により、2035年に自然エネルギー80%で安定的な電力供給が可能であることを示しています。

財団の転換シナリオは、「脱炭素エネルギーの安定供給には、原子力発電やCCS火力などが不可欠だ」という固定観念に対する問題提起を行い、本年度のエネルギー基本計画改定がめざすべき方向を提起するものです。

今回のシンポジウムには、国際エネルギー機関(IEA)の再生可能エネルギー部門責任者を務めるパオロ・フランクル氏が登壇します。2030年までの自然エネルギー3倍化をめざす世界の動きをご紹介いただき、また日本への提言をお聞きします。ビジネスの脱炭素化のために自然エネルギーを求める企業、国内外で風力発電・太陽光開発を進める企業からもご登壇をいただきます。 

まだ参加申込をされていない方は、ぜひこの機会にご登録の上、ご参加ください(無料・要事前登録)。

■イベント詳細
[日時] 2024年6月21日(金)
 【シンポジウム】15:00-17:30 
 【ネットワーキング】プログラム終了後、会場来場者対象
[主催] 公益財団法人 自然エネルギー財団
[開催形式] 会場来場(虎ノ門ヒルズフォーラム)および、オンライン(Zoomウェ
ビナー)

→プログラム・参加登録はこちら 

---------------
【発信元】
公益財団法人 自然エネルギー財団
東京都港区虎ノ門1-10-5 KDX虎ノ門1丁目ビル11F
TEL:03-6866-1020
https://www.renewable-ei.org
Email:info@renewable-ei.org