断熱は通常、床、壁、天井に断熱材を入れたり、窓を二重(三重)ガラスのサッシに変えたりすることが一般的ですが、我が家はデザイン的に凝った建物なので(建物の半分の壁がほぼ全面ガラス張りでサッシに変えることができなかったり、床はテラコッタタイルなので剥がして施工することができなかったり)意匠を崩さずにやる必要があり、一筋縄では行きません。できる箇所の壁、天井、床には内部に断熱材を吹き、できる箇所の窓は断熱性能のいいサッシに変え、変えることができないガラス面にはタイプの異なるブラインドを二重に入れたりとできる限りの手を尽くしました。

空調は前述のように床を触ることができないため、一階(リビングとダイニング)はエアコンを、2階(寝室)は輻射熱のパネル式冷暖房システムを採用しました。(輻射熱パネルのいいところは、エアコンと異なり音がないことと風がないことです)

それらの改修工事と機器の入れ替えのおかげでこの夏は家の中で大変快適に過ごすことができました。以前は外が暑くなると30℃を超えた室内でしたが、エアコン27~28℃設定で室温が28℃程度に保たれていました。エアコンは28℃の高めの温度に設定し、敢えて頻繁にONOFFをせず、つけっぱなしにしました。

これまでも建物の断熱の効果に着目し、事例も観てきましたが、自らやってみたことで、改めてその効果の大きさに実感、感心しています。もちろん、それなりのコストもかかりました。これから、自家発電の分と買電した分の電気料金(削減分)とかけたコストとの見合いの検証をデータに基づいてしていく予定です。結果がまとまりましたら、また何らかの機会に報告しようと思います。
 
この経験を通じて、熱を含めた省エネの大切さをより多くの人に知ってもらいたいとさらに強く思っています。ついては、このたび、エネ経会議の中に「建築部会」を立ち上げるべく準備をしています。エネルギーの効率性と快適性を両立させる建物の研究と新築、改修の両面のご相談に乗れる機能を持ちたいと思っております。部会への参画へご興味のある方、あるいはサービスを受けたいという方はぜひ、事務局までご連絡ください。
 
気候変動/脱炭素への対応とエネルギーコストの安定化のための必要かつ賢いやり方は、まず省エネ(無駄なエネルギー使用の削減し、賢くエネルギーを使うこと)を徹底的に継続的に実施して、その上で必要なエネルギーを再エネを中心に賄うということでしょう。そうすれば、原発を動かすというような持続可能性のない愚かな策に陥らなくてもいいはずです。