官民で150兆円の投資で再エネの大量導入や脱炭素化に繋げていく構えです。原子力の最大限活用を盛り込んでいるが賛否が分かれるところです。核のゴミ問題は、未解決のままです。エネルギー安全保障・脱炭素・経済成長の同時に進めていくのは容易のことではないのでは?いずれにしても日本は巨額のグリーンデイール政策に踏み出しました。
 
そのほか、電力料金負担する支援として家庭1kWhあたり7円補助、企業は、1kWhあたり3.5円補助を本年1月から実施しました。

 

 2)欧州のエネルギー価格高騰をうけて、欧州各国は相次いで政策を打ち出しています。

まず、委員会は、①卸売市場での再エネと原発電源の取引に上限を設定(1あたりユーロセント)②超過利益をあげているエネルギー企業に、一定割合の利益の拠出を求めること。③全電力需要の%削減とピーク時の削減。
 
ドイツの電力市場では、年月には電力価格が一時ユーロhを超え(年月の平均価格の倍以上)ました。
ドイツ政府は当初、エネルギー市場への介入に消極的でしたが、電力料金や燃料価格に対する既存の課税を削減・廃止し、低所得世帯に補助金を支給、ガスボイラーからヒートポンプへの交換その他エネルギー効率化策を助成するように動きました。
 
その他、フランス・イタリア・スペインもほぼ同様で電力料金の上限を設けることと低所得者への補助です。
 
以上、日本とEUエネルギー先進国は、基本的には再エネ導入の加速と省エネ・燃料転換に投資し電力料金の補助と電力会社のウオッチです。

2. そこで日本の個々の企業、特に中小企業にとって死活問題のエネルギー高騰、具体的にはどうしたらいいのかを考えてみましょう。 

徹底した省エネ対策を計画・実行・評価・改善(PLAN・DO・CHECK・ACTIONサイクル)を行うことだと思います。 
具体的には、
1)自社のエネルギー使用量を把握する。そしてその内訳を把握する。
2)省エネの手立てを考える。
3)補助金活用、税制優遇を利用して設備投資投資を行なう。


経営効率化の確証を得たら実行する。間違いなく省エネが出来たか検証する。問題があれば改善する、これらの積極策を講ずることも意義があります。
 
それでは、それを詳しく説明していきます。

 1)エネルギー使用量の把握(簡易なものであれば投資ゼロ)

さらに、最適なエネルギー利用を実現する手段としてエネルギーマネジメントシステム(EMS)があります。
EMSによってエネルギー使用状況の「見える化」や管理・分析・制御といった、全般的なエネルギーマネジメントが可能になります。また、一部の省エネ補助金でEMSの設置が義務付けられている場合があります。

ただし、設置する場合、高額な投資となることがありますので、規模・使用用途等、費用対効果分析して計画・実行してください。

 2) 省エネの手立て

まずは、1)で把握した使用電力量の多い設備・機器の設備更新と運用改善を考える。
例:
・空調換気設備:高効率空調機への更新・空調設定温度の緩和等
・照明の化・通路やトイレ照明への人感センサー導入
・コンプレッサー:高効率インバーター制御コンプレッサーへ更新・吐出圧力の低減、台数制限等
・ボイラー:高効率ボイラー更新・燃焼空気比の低減等
・冷凍・冷蔵設備:高効率冷凍・冷蔵機器に更新・設定温度の緩和・デフロストの頻度の
見直し等
・受変電設備:高圧→低圧受電の可能性検討・高効率変圧器に更新
 
ざっと設備系は、以上が考えられます。
次に北欧諸国で、省エネで最も重要視しているのが、建屋・構造物の遮熱・断熱です。
断熱とは、熱を伝わりにくくすることで遮熱は光を反射させることで温度の上昇することを防ぐことを指します。
 
断熱:断熱材(壁・窓)
遮熱:窓断熱シート、フィルム・太陽光パネル
 
これらは、ものすごく効果的で特に空調設備の高効率化に直結します。また、ここ2~3年、国土交通省の補助金が出ていますのでご注目下さい。
さらに大規模な建物の改修・建て替え・新設にはZEB/ZEH(ゼロエネルギービル・ハウス)の補助金が活用出来ます。エネ経会議は、鈴廣かまぼこ本社家屋のZEB化を過去に支援しました。

 3)設備導入を行ない電気使用量のコストを下げる。

さて次には、積極策です。電気代が高いなら電気を買わないという方法です。不足分は、電力会社より購入することになります。つまり再エネで自社電気を創り、それを使用する方法です。その代表的な手法が「自家消費型太陽光発電」です。※下図は、代表的モデルケース。スマートブルー社の資料より抜粋。
 

これには、相当な投資が必要でその財源をどうするかが課題ですが、今は脱炭素対策の申し子のような太陽光発電は、手厚い補助金が国・都道府県・自治体から出ていますし、中小企業庁の税優遇制度も令和5年度以降も延長され活用できます。

そこで、これらを活用した電気代削減のシミュレーションをしてみましょう。
条件は、100kw太陽光発電(約1,000㎡)、設置費用:20万円/kw(建設コスト)、電気料金単価18円/kWh、補助金5万円/kw(定額)、税優遇制度(即時償却×法人税率32%)を活用としました。
※下図 スマートブルー社資料より抜粋

1500万円の設備投資で電気代年間200万円弱の費用削減ができることがまず分かります。補助金が使えれば設備費用は1000万円で済むことになります。更に節税を組み合わせると実質約500万円の投資となり、2.5年ほどで投資回収が見込まれます。電気料金が上がれば年間の電気代削減効果はさらに大きくなります。
 
このように自家消費型太陽光発電は、多くのメリットがあります。

①電気代削減
②停電対策
③環境貢献(脱炭素)
④遮熱効果④支援制度の活用

この他、自己資金が要らないPPA(電力購入契約)という手法があります。PPA事業者が
屋根を借りて太陽光発電を設置・運用して、導入企業に電力を供給する仕組みです。
ただし、これには条件があります。現在オンサイトPPAでは、通常500kw以上の太陽光発電設備が設置可能、屋根の耐用年数20年という条件が一般的です。500kwというと約5,000㎡の日照の良い屋根又は敷地が必要です。そうそう、5,000㎡の屋根はありませんね。
ただ、こんな手法があると覚えておいてください。

以上で考えられる手立てを述べてきました。後は、DOの実行するかどうかは、何といっても投資対効果でしょうね。効果があると確信したらファイナンスが可能かどうか等で経営判断で決めることになるでしょう。
実行後は、CHECK(検証)・ACTION(改善)をお忘れなく。
 
エネ経会議・エネルギー何でも相談所は、PDCAサイクルで診断・支援・検証・改善にご要望があればいつ何時でもお付き合いしますのでご一報、ご相談ください。