2021年日本の電源比率・エネルギー価格(エネ庁資料より抜粋)

従量料金には使用量に応じ再エネ賦課金、燃料調整費が加算されます。再エネ賦課金は最近のニュースにあったように政府の方針で1.40円/kWhに引き下げられました。この金額は2022年度の賦課金単価より2.05円/kWh 減となり、2012年度の制度開始以来初めての減額となりました。

2021年日本の電源比率・エネルギー価格(エネ庁資料より抜粋)

どうして再エネ賦課金が減少したか疑問に思われる方もいらっしゃるかと思われます。賦課金単価には、毎年度、再エネ特措法で定められた算定方法に則り、経済産業大臣が設定しています。今回初めての引き下げとなつた賦課金単価の算定では、回避可能費用等が2023年度における想定で、2022年度における想定の約2.5倍となつたことによります。回避可能費用とは、電気事業者が、再エネ電気の調達によつて、発電・調達をせずにすみ、支出を免れた費用をいいます。つまり再エネ電気が増えれば発電事業者のコストが減ることに起因しています。
再エネが増えると電気料金が上がるという言われ方をしていましたが、現在のように燃料調達費が高騰している状況ではそんなことはないということがw
結局値上がりの大きな要因は燃料調整費なのです。
その引き金になったロシアによるウクライナ侵攻から1年経過してもなお高い水準にあります。パリ協定が採択された2015年以降、世界では、脱炭素の機運が高まり、化石燃料への投資は減少しました。欧州や中国の需要は、むしろ増える見通しで、ガス危機の長期化は、避けられません。
グラフで読めるようにこの10年で総発電量が下がると共に、化石燃料由来の電源比率も減ってきています。
また、化石燃料のうち比較的二酸化炭素排出量が少ない天然ガスは輸入に頼っていますが、日本は長期契約により有利な値段で輸入できているためヨーロッパに比べ影響が軽くなっています。それでも燃料調整費が高くなっているのは円安による影響も大きいのです。
法律により燃料調整費の上限が決められていましたが、電力会社の燃料調達費用は軒並みその上限に達していて逆ザヤが生じ経営を圧迫する状況となっていました。そこでこの上限価格を見直しを行った結果が今後予定されている電気料金値上げの理由です。
2022年は、再エネやEVなどへの投資額が15%増加するなど世界の再エネシフトは加速しています。ただ、ウクライナ危機以降、金属資源価格なども高騰し、再エネの投資価格は、膨らみました。
日本は2030年度にCO2を46%削減することを公約していますが、経済成長を維持しながらエネルギー安全保障(エネルギーの自給率アップ・安定供給)の強化と脱炭素を進めていくのは容易なことではなさそうです。
今回は、世界・日本のエネルギー危機がもたらす電気料金高騰の状況を説明しました。
次回は、欧米諸国と日本のその対処(方針と実行)について考えてみましょう。