■令和5年度エネルギー関連予算概算要求
気候変動がもたらす世界各地への甚大な影響は年々顕著になっています。政府も2050年カーボンニュートラルの目標を掲げようやく脱炭素への取り組みに本腰を入れ始めているかの感があります。

令和5年度の概算要求を見ても経産省、環境省から多くの関連予算の要求が出ています。

令和5年度経産エネルギー対策特別会計概算要求
https://www.meti.go.jp/main/yosangaisan/fy2023/pr/energy.html 
令和5年度環境エネルギー対策特別会計概算要求
https://www.env.go.jp/earth/42021_00002.html
 
■COP27では日本は3年連続不名誉な化石賞
一方先に閉幕しましたCOP27では日本は3年連続で不名誉な化石賞を受賞しました。
理由としては、次のように述べられています。

「日本が化石燃料に対する世界最大の公的資金を拠出している国だから。報告書によると、日本は2019年から2012年までの3年間で、化石燃料に対して公的支援で合計318億ドル(約4兆7700億円)を拠出。この金額は、第2位と大きく引き離して、世界最大だった。」
 
■何故基本計画が必要か
このような背景に鑑みると、国、地方自治体からも脱炭素に向けて各種補助金が出てくることが予想され、自治体、企業、家庭各部門でこれを機会にエネルギー対策の機運が盛り上がることが考えられます。

ここでの懸念は、個々に補助金獲得を目的として色々な取り組みがなされるが総体としては基本概念がないまま単発の計画が進められてしまうということです。

エネルギーのことは国が考えれば良いというスタンスではなく、地域毎に異なる事情を反映した地域の「エネルギー基本計画」がありそれに沿って必要な施策は補助金も上手に使って計画していくことが求められていると考えます。
 
■具体的な方法論 その1勉強会の提供
地域の「エネルギー基本計画」とは行政が政策として掲げ、地域で中心となって推進していく地域電力会社などの事業実行母体が必要なものと考えますが、地域毎の取り組みに対する温度差、特に行政を巻き込むまでにはまだかなりの隔たりがあることも運営委員の話からうかがえました。
 
そこで、エネ経会議としてその機運醸成のためのお手伝いとしての勉強会を希望するところに要望をお聴きしながら提供していくこととします。
趣旨は以下の通りです。

地域経済にとって、中でも特にそれを下支えする地域の中小企業にとって、自らエネルギーに取り組むことは、次の3つの側面で重要だと考えられます。

1.環境問題:気候変動・脱炭素
全ての経済活動の基盤である地球環境が危機にある中、気候変動は自社の 事業にとって脅威であると認識を持ち、自社で、また自分の地域で取り組むべきことを考え、実践していくこと。
2. 経済問題:地域経済循環
地域で廻るお金を増やし、廻るスピードを上げるために、域外に流出しているエネルギーコストを抑えていくこと。
3.経営問題:為替、国際情勢のリスク

自社の収支に大きな影響を与える為替や国際情勢を鑑み、地域で調達できるものは地域で調達すること。その中でエネルギーの占める割合は小さくないこと。
 
内容として例えば3回シリーズでの勉強会となります。
第1回(60~90分)
講演 「地域でエネルギーに取り組み意味と意義」
・藻谷浩介氏(60~90分) 
 
第2回(60~90分)
セミナー 「地域循環分析のツールと方法」
環境省が作成した地域経済循環分析ツール説明と利用方法について該当地域のデータを入れた結果をベースに
・地域経済分析 地域活性化センター 
講師は地域活性化センターに依頼(30分)
・各地の実情に合わせ専門家による講話(20分)
 
第3回(60~90分) 
セミナー 「地域エネルギーの具体の取り組み/事例発表」
・小田原箱根エネルギーコンソシアム 
・エネ経会議 エネルギー何でも相談所 
・環境省の補助メニュー「再エネの最大限の導入の計画づくり及び地域人材育成を通じた持続可能でレジリエントな地域社会実現支援事業」の紹介 
 
ここで「地域経済循環分析ツール」について馴染みが無いと思いますので少し紹介いたします。これは国が集めた地域毎の経済データを使いそれを分析、パワーポイントを自動的に作成するという環境省が作成したツールです。

アドバイザーの金丸弘美氏が月刊「NOSAI」10月号に寄稿した文から内容、使い方の概略をお読みください。
 
さて、ここまできて自治体も入れた「地域エネルギー基本計画」策定に取り組む準備ができた後の方法論に関しては次号で説明いたします。