日銀が金利を上げられない理由は別にあり、上げると日銀自体が債務超過(一般企業とは財務諸表の形が異なりますが)になりかねないという状況で、実は打つ手がないというのが本音ではないのかと勘繰りたくなります。
金利の上昇は借金をしている会社にとってはコスト増になるので、嬉しくないことではありますが、現状を鑑みれば、それより現在のエネルギーを含んだ原材料コストの上昇が経営に及ぼしているマイナス効果のほうが数段大きいことは明らかでしょう。金利は20~30%上がるということはありませんが、原材料やエネルギーはそれ以上に上がっているからです。
企業が借り入れを増やすことを期待して金利を抑えるのではなく、まともな金利を負担してもきちんと経営が成り立つ環境をつくることが今、この国が目指すべきで、国の政策はそこにあるべきではないでしょうか。
さて、エネ経会議のテーマである「エネルギーから経済を考える」と、今、私たち中小企業の経営を圧迫しているエネルギーコストの暴騰の原因はロシアによるウクライナ侵略と円安であることは間違いないと思います。とすれば、その2つが短期間での解決は期待できない状況では、エネルギーコストが即下がることは期待しにくいでしょう。
とすれば、ここは冷静になってエネルギーの事実を正確に把握(化石燃料の価格高騰に関しては、使用量が増えたわけでなく、単価が上昇しているからという事実を認識)し、論理的に分析をし、抜本的な改革を図る必要があります。
これだけ追い詰められれば、小手先に対応に終始するばかりではなく、腹を括って、エネルギー改革に取り組む最大のチャンスとして捉えるべきでしょう。
その方向はエネ経会議の2つの基本方針に合致します。
Ⅰ.賢いエネルギーの使い方を学んで実践する=省エネ
エネルギーはコストですから、まずは、使用量を減らすこと。同時に、環境負荷を減らすことで気候変動にも効果があります。
Ⅱ.再生可能エネルギーの地産地消を進める
地域からの資金の流出を抑え、地域での新たなビジネスチャンスを創り、お金を廻す手段として有効です。
そのために地域で自らが自分の地域の将来的にどういうエネルギーでどういう地域を創るのかを考え、計画=政策として確立させ、その実践に計画的に取り組みことが必要だと思うのです。
そのステップは…
1.現状の、電力だけでない熱も含めたエネルギー消費/需要の実態を把握する
2.それをいかに減らせるかを検討する
3.将来的に必要となるエネルギーの全体像を描く
4.上記3.と4.のギャップをどう埋めるかを考える
5.自分の地域内で賄えるものと不足するものを明らかにし、それぞれの調達の具体的な計画をつくる
6.計画を実践しつつ、PDCAを廻していく
これが「地域版エネルギー基本計画」の考え方です。
今日の電気料金に苦しみながらも、明日のエネルギーへの一歩を踏み出すことこそ、「急がば廻れか」も知れません。