仙台小学校断熱化実証実験 2020年

前置きが長くなりましたが、私は横浜で設計事務所をやっています。エネ経の理念に共感し設立当初からの会員です。またエネルギーなんでも相談所の建築についての相談員もさせてもらっています。

エネルギーを賢く使うには、創エネと省エネはセットです。例えば太陽光パネルでエネルギーを使ったとしても、建物がエネルギーダダ漏れの器であれば、穴の開いたバケツに水を入れるように、エネルギーの垂れ流しでしかありません。省エネというとエアコンをできるだけつけないようにするとかいうような我慢のイメージがありますが、そうではありません。建物の断熱性能がよければ、少しのエネルギーで室内の環境を快適に保つことができます。そして必要な創エネも少しで済むわけです。また省エネというと高効率の設備機器がまず目がいきますが、建物のきちんとした断熱性能があった上での高効率の設備機器と私は考えます。建物の断熱性能が高ければ、導入する設備機器は小さなもので済むからです。日本では建物の断熱性能についての意識がとても低いです。国の定める基準も欧米に比べるととても低く、20〜30年は遅れているというのが実情です。
 

日詰エコハウス 2020年

私は設計事務所をやるかたわら、仲間と「エネルギーまちづくり社」という会社もやっています。その会社は、エネルギーを売らないエネルギー会社と称して、エネルギーのかからない建物や家を普及することをやっています。自治体の建物の省エネルギー化の実証実験を請け負ったり、エコタウン開発のお手伝いをしたり、エコハウスの規格住宅を開発したりしています。

住宅の断熱性能や燃費性能を向上させることは、光熱費を減らし、CO2削減に貢献するだけでなく、暖かい室内環境が住む人の健康に寄与し、また認知症にも効果があることが最近の研究で明らかになってきています。健康になるということは、医療費が少なくなる、そして地域社会にとっては社会保障費の削減にもなるだろうと私は考えています。

地元の木材を使ってエコハウスをつくる。そしてそれを地元工務店につくってもらう。そうすることで今までエネルギー費として域外に流失したお金が、地域内に残って地域経済をまわす仕組みができると私は考えています。エネルギーまちづくり社は、地域内の経済循環をエコ建築によって実現するということをヴィジョンに掲げて活動しています。