私が会頭を務める小田原箱根商工会議所では、これまでも「エネルギー環境委員会」を設置するなど、エネルギー問題に、特に地域でお金を廻すという視点で取り組んできました。そして、今年からECHOの輪に加わり、より具体的に動き始めました。これまでエネ経会議が担っていました経済産業省からの委託を受けた中小企業向けの省エネ診断事業については商工会議所を補助事業者として、エネ経会議のエネルギー何でも相談所が実働部隊として活動を開始しました。
 
バージョンアップしたECHOでは、まずは賢いエネルギーの使い方を学び実践する、つまり省エネを徹底して進めます。その上で、創エネ、つまり地域でエネルギーを創ること、そして地域で作ったエネルギーを地域で使う、まさにエネルギーの地産地消を実現して行きます。それには初期投資の資金も必要です。資金調達の分野には地域の金融機関である信用金庫(さがみ信用金庫)や地方銀行(横浜銀行)も加わっていただいています。
 
人口20万人弱の小田原では全体で年間約300億円分の電気料金を支払っているというデータがあります。これまでは残念ながらそのお金は域外に流れ出すばかりで、ほとんど地元には戻ってきていません。その一割でも地元で回すことができれば、それは地域にとって、地域の企業にとっては大きなお金です。地域の課題を解決するための原資になる可能性があります。
 
異常気象が常態化する気候変動が私たち中小企業の経営にも直接の大きな影響を与える時代です。その対策としての化石燃料の使用をどう減らすか、さらには化石燃料主体のエネルギーシステムをどう変革するかという脱炭素。まさに「環境と経済の好循環」が必要な時代です。環境問題に対応し、かつ地域経済のエンジンとなる、この地域での地域のプレーヤーによる再生可能エネルギーの地産地消を進めることは地域の中小企業が積極的に取り組むべき課題であります。
 
環境省が進める脱炭素先行地域の公募事業(自治体に200億円の支援をし、2030年までに全国100か所での展開を目指す)に行政として小田原市が手を上げるべく準備中であり、ECHOでは連携して支援をしていきます。いよいよ脱炭素に動き出さないと地域間競争にも不利になる時代です。
 
エネ経会議としては、この私の地元で進んでいるものと同様な取り組みが、会員の皆さまが活動する全国各地のそれぞれ地域でその地域のプレーヤーの連携によって広がってほしいと強く願っています。ご賛同いただける方、興味のある方はぜひ、ご一報ください。
 
緊急事態宣言が解除されたとは言え、コロナの影響は即なくなるわけでありません。言うまでもなく一日も早い個々の企業の業績と経済全体の回復が急務です。WITH/POSTコロナの時代に相応しい商売の形が求められています。コロナからの回復のキーワードの一つは脱炭素でありましょう。地域の中小企業がエネルギー問題に取り組むべき所以です。