ドイツ視察報告①
 
〜今、ドイツで何が起きているのか。
 
     エネルギー分散化時代の一歩先を行く再生エネ先進国で
 
 
 
  ○はじめに 〜一歩先を行くエネルギーの分散化を見る
 
  ○視察先リスト
 
  ○ドイツで起きていること4つのキイワード
 
  ○再生エネが招くエネルギー分散化の拡大とエネルギー事業のスタイル
 
  ○再生エネの拡大と電力マーケットの変化
 
  ○エネルギー会社への大きな影響
 
 
○はじめに 〜一歩先を行くエネルギーの分散化を見る
 
 
 
今年のGWは、丸ごとドイツで過ごすことになりました。久しぶりの単独で
 
のドイツ視察を行うことにしたのです。
 
天候には恵まれましたが、最初のハンブルクで5度しかなかった気温が、最
 
終目的地のミュンヘンでは25度を超えるなど、急激な変化には驚かされました。
 
おかげで最後の日曜日の8日には、ドイツの再生エネの新記録が起きました。
 
全電力容量の9割を再生エネでカバーしたというものです。この他、いくつか
 
のニュースにも遭遇することになりました。後で、もう少し詳しく記述します。
 
 
 
 GW直前の4月26日からGW終了後の5月10日まで13泊15日の旅程でし
 
た。初日はハンブルクに入り、ハノーファー、カッセル(正確には郊外)、デュ
 
ッセルドルフ、ミュンスター、ミュンヘンと回りました。そこには、再生エネ
 
電力が3割を超えたドイツのエネルギー事情がありました。
 
キイワードは、一言で『エネルギー分散化時代の到来』です。かつて、こじ
 
んまり分かれていたエネルギーの需給が、近代化に乗っていったん集中し、現
 
在は一転分散化が進んでいます。ただし今回は、広範囲に及ぶ分散化です。そ
 
して、当然のことながら、この分散化、分散型を基本に、ビジネスが構築され
 
てきています。
 
そのあたりを簡単にメルマガにしてみました。
 
 
 
○視察先リスト
 
 
 
ざくっとした、視察先とその内容です。
 
 
 
・太陽光発電設備の監視とメンテナンス企業(ハンブルク)
 
・交通部門での水素社会への対応(ハンブルク)
 
・ハノーファーエネルギーメッセ
 
   ORC、Power to Heat、燃料電池、木質バイオマスガス化など
 
・エネルギー協同組合による地域熱供給の完成(カッセル郊外)
 
・ドイツにおける燃料電池と水素、EVの現状(デュッセルドルフ)
 
・蓄電池の先端研究組織(ミュンスター)
 
・ドイツ最大のシュタットヴェルケ(ミュンヘン)
 
・蓄熱、熱供給研究所(ミュンヘン)
 
・ドイツ最大のシュタットヴェルケ支援企業グループ(ミュンヘン)
 
 
 
いずれも、先進的なビジネスや研究を進めている企業や組織で、ドイツのエ
 
ネルギーの行く末を予見させる内容でした。再生エネの成熟過程に入ったドイ
 
ツでの出来事は、必ず日本へも影響を及ぼすことになります。ビジネスの観点
 
からも重要な知見が得られたと感じました。
 
 
 
○ドイツで起きていること4つのキイワード
 
 
 
・再生エネが招くエネルギー分散化の拡大
 
・電力マーケットとエネルギー会社への大きな影響
 
・熱と交通部門への波及
 
・エネルギー事業体の変化と活性化する周辺ビジネス
 
 
 
○再生エネが招くエネルギー分散化の拡大とエネルギー事業のスタイル
 
 
 
 大型の石炭や天然ガス発電や原発などこれまでの大規模発電のスタイルは、
 
いわゆる従来型と称され、もはや過去のものになりつつあります。脱原発を決
 
定しているドイツにとっては、脱従来型は既定路線となりました。
 
 では、原発を含む従来型の発電システムを何がカバーするのかといえば、昨
 
年の全発電量のうちその割合がついに3割に達した再生エネしかありません。
 
そもそも大規模な発電が難しい再生エネは、ほぼどこにでもある再生エネの資
 
源に合わせて比較的小規模な発電施設を作るので、分散化するのが必然です。
 
また、電力の需要側の多くは個人の家庭ですから、電力の供給先は最初から分
 
散化しているのです。
 
 同じ分散型のこの2つ(再生エネ発電と需要側)は相性がいいのは当たり前
 
で、これを結び付けるエネルギー事業は、地域に根差す事業体に委ねられるこ
 
とが効率的なのも自明の理です。
 
 ドイツでは、1800年代から最初はガスなどのエネルギーを地域供給してきた
 
シュタットヴェルケ(都市公社)がありました。1998年のドイツの電力自由化
 
でいったん大電力会社に身売りしたシュタットヴェルケが、エネルギーの分散
 
化に伴って近年急激に復活してきている理由は、ここにあります。
 
 
 
 実際に昨年著名なヴッパタール研究所がまとめたデータでは、2005年から
 
2012年まで間にドイツ全体で新たに72のシュタットヴェルケが新設されたと
 
言います。
 
 大きな背景は、これまで書いたような分散化の進行ですが、今回のドイツ取
 
材でさらに次のような要素があることがわかりました。
 
 ドイツでは、地域の個々の家庭など電力需要者に電気を送る配電網を15年や
 
20年に一回入札を行い、その所有者を変更出来るシステムになっています。最
 
近のシュタットヴェルケの増加は、このシステムを使って配電網を手に入れる
 
ケースが多いと言います。少し古くなりますが、配電網を取得したので最も有
 
名なのが、映画にもなったシェーナウのケースですが、決して小さな地域だけ
 
でなく、最近では首都ベルリンで配電網の買い取りが起きています。
 
 
 
 かくして、再生エネを中心とした分散型の発電からの電力を、配電網を有し
 
たシュタットヴェルケなどの地域エネルギー会社が、地元の地域へ供給すると
 
いう事業スタイルが拡大することになっています。つまり、分散型のシステム
 
が「エネルギーの地産地消」を呼び込み、実現させているのです。
 
 日本の場合、確かに配電網などの条件は違いますが、基本的な分散型の仕組
 
みは可能だと考えます。4月から始まった電力小売完全自由化をきっかけに、各
 
地で地産地消を目指した取り組みが進んでいます。私も微力ながら数か所でお
 
手伝いをしています。
 
 
 
○再生エネの拡大と電力マーケットの変化
 
 
 
 ここで、ドイツでの再生エネ電力の拡大がどう電力卸売市場とエネルギー関
 
連企業に影響を与えているかを、最新情報を含めてまとめておきましょう。
 
 これまでもメルマガで何度も書いてきましたが、ドイツでは再生エネの拡大
 
によって卸売りの電力価格は大きく下がってきています。これが日本で語られ
 
る常識と違っているのは、「再生エネ拡大で電力価格が急上昇している」のでな
 
くては困る人たちにとって不都合な真実だからです。
 
 ドイツの卸売りの電力価格は、EPEX(欧州電力取引所)によるとおおよそ次
 
のような変遷をたどっています。2002年に1kWhあたりおよそ2.3ユーロセン
 
ト(およそ2.8円)だった価格は上昇を続け、2008年には1kWhあたり6.8ユ
 
ーロセント(8.1円)と倍以上に跳ね上がります。ところが、再生エネの電力が
 
急拡大するとともに電力価格は下落に転じ、昨年の平均は3ユーロセント(お
 
よそ3.7円)に迫り、今年に入るとついに2.5ユーロセント(3円弱)を切りま
 
した。再び15年ほど前の水準に戻っているのです。
 
 すでに書きましたが、最大の原因は再生エネ電力の増加です。特に、電力需
 
要の多い昼から午後にかけて最も発電する太陽光がその主要因とされています。
 
本来なら需要が多く、高く電気が売れるはずの時間帯に、原料代ゼロの太陽光
 
発電の電力が大量にマーケットに供給されるのですから、価格が下がるのは当
 
たり前ということなのです。
 
 
 
○エネルギー会社への大きな影響
 
 
 
そして、これがこれまで化石燃料に頼っていた既存の大発電会社に決定的な
 
ダメージを与えることになりました。太陽光や風力発電はVRE(変動性再生エ
 
ネ:Variable Renewable Energy)と呼ばれますが、最大の特徴は原料代がかか
 
らないということです。マーケットでは安いものに競争力があり、電力卸売市
 
場ではまず原価の低いVREから売れていきます。このため、原料代が高い天然
 
ガス発電はどんどん稼働されなくなっていきました。これを「メリットオーダ
 
ーエフェクト」と言います。今回の視察で訪れたドイツ最大のシュタットヴェ
 
ルケ、SWミュンヘンでも、保有するゴミ発電施設ではなるべく発電せずに熱利
 
用を心がけていました。
 
 この結果、ドイツ最大の発電会社RWE(エル・ヴェー・エー)がおととし創
 
業以来初の赤字決算となり、また、欧州有数のE.on(エーオン)も赤字となり
 
ました。彼らは、再生エネ発電施設をわずかしか持っていなかったのです。危
 
機感を感じた2つの大発電会社は、そろって会社を分割しました。将来性のあ
 
る再生エネ主体の会社と従来型の化石燃料や原発の会社です。もちろん、前者
 
に期待がかかっています。
 
再生エネの拡大、ドイツで言う「Energiewende:エネルギー革命」は、ドイ
 
ツのエネルギー界を長い間牛耳ってきた4つの大エネルギー会社の半分の基本
 
的な形態を変えさせてしまったのです。そして、直ちに分割の効果が表れまし
 
た。今年から分割したRWEは、今年の第一四半期のコンツェルン全体の売り上
 
げを、昨年比で7%も増加させました。マスコミも「驚きの結果」と伝えていま
 
す。
 
 
 
○次号へ
 
 
 
 ドイツでの再生エネ拡大の動きは、エネルギーの分散化を招いて定着させて
 
います。「分散化」は最大のキイワードであり、今後のエネルギーはこの言葉を
 
中心に動くとドイツのある重要なエネルギー関係者が語っていました。
 
 次号のメルマガでは、エネルギーの重要なポイント、熱、交通への展開や地
 
域のエネルギー事業体とそのサポートビジネスなどを取りあげます。
 
 
 
 メルマガの最初の部分で書いた「5月8日の出来事」について、もう少し詳し
 
く書いておきます。
 
 この日に起きた再生エネの新記録のことです。
 
 5月8日の午前11時に、全ドイツの需要の87.6%を再生エネ発電で賄いまし
 
た。
 
 この日は日曜日で母の日でした。私はちょうどミュンヘンにいました。晴天
 
で気温が上がって25度を超え熱いと感じるまででした。これまでの記録を出し
 
た日は今回のようにいずれも休日で、基本的に電力需要が通常より大きく低い
 
場合です。いくつか前提条件はありますが、ドイツではほぼ9割が再生エネ電
 
力となるまでになったのです。
 
○はじめに 〜①の振り返りと4つのエネルギートレンド
 
さて、①では、GWのドイツ視察の前半部分をお伝えしました。
 
一言で『エネルギー分散化時代の到来』です。ドイツでは、昔は点でしかな
 
かったエネルギーの需給が、近代化に乗っていったん集中化し大量需給となり、
 
現在は再び分散型へと回帰しています。そして、この分散型エネルギーを基本
 
に、新しいビジネスが構築されてきています。
 
今回の視察でわかったドイツのエネルギーのトレンドをまとめると、
 
・再生エネが招くエネルギー分散化の拡大
 
・電力マーケットとエネルギー会社への大きな影響
 
・熱と交通部門への波及
 
・エネルギー事業体の変化と活性化する周辺ビジネス
 
の4つとなります。
 
 メルマガでは、まとめの前半に当たる大きな二つの現象を取り上げました。
 
「再生エネがエネルギー分散化の拡大を呼んで主流となり、旧来型のエネル
 
ギー事業が過去のものとなってきていることや、地域エネルギー事業の核とし
 
てのシュタットヴェルケが復活してきていること」と、「再生エネの拡大によっ
 
て、卸売電力価格が大幅に下落するなど電力マーケットの変化し、大発電会社
 
の経営が非常に苦しくなってきていること」でした。
 
今回は、後半の2つの現象をまとめます。
 
 
 
○本格化する再生エネの熱利用
 
 
 
 基本的な話として、これまで何十回と繰り返してきたのが、エネルギーは電
 
気だけでないということです。ドイツや日本などの先進国では、最終エネルギ
 
ーとして電気の形で利用しているのは、せいぜい全体の4分の1から3割程度
 
でしかありません。
 
 最も多いのが熱利用で、ドイツや日本でも4割を超え半分近くになっていま
 
す。寒い地方ではさらに重要性が増します。
 
 再生エネ先進国と言われるドイツでさえも、再生エネの熱利用はようやく進
 
んできたという段階です。長年灯油などの化石燃料が熱利用の中心であり、い
 
までも割合で言えば化石燃料が最多です。これを再生エネ中心とした地域内で
 
の熱供給へと変えようというのが最近の取り組みです。 
 
 
 
そして、熱供給の主役が、地域エネルギー事業ということになります。その
 
主軸は、自治体が中心となっているシュタットヴェルケでしょう。多くのシュ
 
タットヴェルケは、エネルギーの供給部門として「電気」「ガス」「熱」の三本
 
柱を保有しています。
 
熱の元はといえば、比較的小さなシュタットヴェルケでは木質バイオマスの
 
コジェネを利用することが多い様です。地域の森林資源を近くで利用する大変
 
わかりやすいやり方です。一方で、今回訪問したドイツ最大のシュタットヴェ
 
ルケ・ミュンヘンや昨年訪れたヴッパタール・シュタットヴェルケなど大きな
 
都市では、ゴミ発電などの排熱を何キロ先までも送る遠距離熱供給を行ってい
 
るところもあります。
 
一方で、ソーラーコンプレックス社のように、民間企業が地域のシュタット
 
ヴェルケや企業を手伝って熱供給を行うケースも増えてきています。例えば、
 
町の工場で捨てていた排熱を利用し、新設した熱導管で家庭などに熱供給して
 
いる例などがあります。
 
熱導管などのインフラはドイツではすでに整っているイメージがあるのです
 
が、実際には、ほとんどのケースで新設されています。ただし、ドイツの一般
 
家屋では、日本にはまず無いお湯をポンプで回す熱供給配管がもともとあるの
 
に対し、日本で熱供給システムを導入するには、更なる整備が必要になります。
 
 
 
○求められる熱の大量長期貯蔵
 
 
 
 熱供給の課題は、電気のようには遠くまで運べないことです。ですから、熱
 
供給はどうしても分散型になります。また、熱の発生と需要のバランスがなか
 
なか取れないことも解決が必要な重要ポイントです。発電機の排熱やORCから
 
の熱は自動的に生まれてしまいますが、その時に大量の熱の利用先が近くにあ
 
るとは限りません。日本での熱利用を考えた時の問題点もこの需給ギャップに
 
あります。
 
そこで、熱を貯蔵しようということになります。電気を蓄電するようなもの
 
です。私が訪れた多くの熱供給設備には、いわゆる貯湯槽が併設されて、週単
 
位の貯蔵を行い需給のバランスを調整していました。断っておきますが、これ
 
は特別な技術、例えば、熱を特殊な媒体に貯めて置くというようなものではあ
 
りません。単純にお湯で貯めるのです。
 
ドイツのもそうなのですが、夏は熱需要が少なく、冬には莫大な熱が必要に
 
なります。そこで求められているのが、季節を越えた熱貯蔵です。夏に作った
 
熱を貯めて寒い冬に使おうというのです。実は、この大量長期貯蔵技術はすで
 
にデンマークで実用化されています。実際にメガワット級の熱貯蔵プラントが
 
稼働しており、ドイツで導入を検討しているところもあるようです。
 
一方、ドイツで著名な研究機関ZAEバイエルンでは、シュタットヴェルケ・
 
ミュンヘンと組んでこの大型熱貯蔵の実証を実機のプラントを建てて行ってい
 
ます。他には、再生エネの余剰電力を一番実用的な熱に変えるというプロジェ
 
クトも行われており(Power to Heat)、再生エネの重点は、電気だけでなく熱
 
にも広がっていることがよく分かります。
 
 
 
○急速に進むEVの普及
 
 
 
 先ほど熱のところで書いたエネルギーの重要な最終利用の形に交通がありま
 
す。ドイツでもエネルギー全体の3分の1は交通利用で、現状ではそのほとん
 
どがガソリンで使われています。これを出来る限り再生エネに代替していこう
 
というのが国の方針です。
 
 今回、ドイツを訪れて驚いたことのひとつに、EVの普及があります。3年前
 
には千台単位でしかなかったEVがこのところ急増しています。2013年には
 
7000台程度だったのが、2014年に1万2000台、昨年1万9000台、そして今
 
年の1月1日には2万5000台を超え、急速に増えています。背景には脱化石燃
 
料の流れがあり、今年の春からはEVに対する1台4000ユーロもの補助金がス
 
タートしています(強い反対意見もありましたが)。
 
 一方で、燃料電池自動車への流れはやや静かなイメージです。トヨタのミラ
 
イが発売され、韓国のヒュンダイもドイツでのビジネスに参入しています。し
 
かし、昨年末までの目標とされていたドイツ全国で50か所の水素ステーション
 
も23か所にとどまるなど、インフラ整備に大きな課題が残っています。今回訪
 
問した研究機関やシュタットヴェルケでも、水素に興味は示すものの、もう少
 
し先では、という返事がいつも返ってきています。
 
 言わずもがなかもしれませんが、EVや燃料電池の燃料である電気や水素を語
 
る時、大前提としてCO2フリー、つまり再生エネ由来であるということは、ヨ
 
ーロッパでは常識です。化石燃料(原発も含む)からの電気や副生水素はまっ
 
たく想定されていないことを忘れてはいけません。
 
 
 
○主役に躍り出た地域エネルギー事業
 
 
 
 分散型エネルギーの供給主体は地域エネルギー事業体です。ドイツでは、古
 
くからあるシュタットヴェルケが最近増加傾向で、特に再生エネを利用して分
 
散化を進めています。また、自治体そのものが主導的に地域エネルギーを分散
 
型に変えていっているケースも数えればきりがないくらいです。その一つ、バ
 
イオエネルギー村はドイツでは100を超えています。
 
さらにこれに合わせて、地域エネルギー事業の周辺で、様々なビジネスが生
 
まれています。
 
例えば、ソーラーコンプレックス社のような再生エネ専門の民間エネルギー
 
事業会社はその一つです。同社は、分散型エネルギー供給を基本コンセプトに
 
して、様々なノウハウを蓄積してきました。そして、地元の規模の小さいシュ
 
タットヴェルケや自治体に対し提案を行って、いくつものプロジェクトを実現
 
してきました。太陽光や小水力、木質バイオマスや家畜系廃棄物によるバイオ
 
ガスコジェネや、近距離の熱供給システムの導入まで手掛けて成功させていま
 
す。
 
 一方で、シュタットヴェルケなどの地域エネルギー事業の運営を支援するビ
 
ジネスが急激に伸びていることがわかりました。単独ではその運営にコストが
 
かかりノウハウもあまり持たないシュタットヴェルケに対して、効率的なエネ
 
ルギーの調達やVPP(バーチャル発電所)などの技術によるエネルギーの融通
 
によって経営を安定させるビジネスはすでに実現しています。また、多額の費
 
用が掛かるエネルギー供給施設を、ファイナンスも含めて代わりに建設保有す
 
るなど、すでに数兆円のマーケットが生まれていると判断されます。