沖永良部島へ行ってきました
わがエネ経会議創立以来のアドバイザーである東北大名誉教授の石田秀輝先生に誘われての初めての訪問でした。大学奉職中から沖永良部に魅せられた先生は、ジャングルを切り開き、家(「酔庵」と命名)を建て、行ったり来たり。2014年に大学退官後は移住し、「合同会社 地球村研究室」を設立。その間、島の住民との交流の中から、この島を先生のライフワークである「心豊かに暮らせる」場づくりの実践の場にしようと、UターンやIターンの若者も交え活動されています。私はその一環として今年で7回目になるシンポジウムのスピーカーとして呼んでいただいたというわけです。
鹿児島県下の知名町と和泊町という二つのまちからなる1万4千人ほどが住むこの島は、鹿児島空港から日に3便の飛行機で70分ほど。コンビニも3軒(そのうちの一軒は24時間営業とか)、生協系のスーパーもあり、離島だからと勝手に描いていたイメージよりずっと大きな開けた島でした。
シンポジウムの内容については上記のWEBサイトをご覧ください。地元の高校生も加わって熱心な議論で湧いた5つの分科会、島料理と黒糖焼酎を堪能し最後は必ず皆が踊りだす懇親会など、とても濃く楽しい2日間でした。私はエネルギーについて話したのですが、電気だけでなく熱(冷熱)にも視野を広げると、この島はエネルギーの地産地消が可能だと思いました。さんさんと降り注ぐ太陽光は発電にも熱源にも使えます。鍾乳洞があるくらい豊かな地下水があります。さとうきびの搾りかすはバイオマス利用もできそうです。(風力発電は台風が多いので難しいでしょうが。)
沖永良部は都会的な便利さや楽しさはないかも知れませんが、本来とても豊かな場所なのだろうと感じました。東京には人間の暮らしに必要な食べもの、水、エネルギーはありません。沖永良部には全てあります。水産物、野菜や果物(減反政策以前は米も)、水、そして、エネルギーが。SNSで情報の垣根や距離はなくなりましたし。
そんな島で「やっぱり!」と思ったのは、島のスーパーの野菜売り場で一番売れるものは何かを聞いた時でした。島で採れるゴーヤでもじゃがいもでもサトイモでも冬瓜でもインゲンでもなく、(洗わず切らずに使える)カット野菜なのだそうです。使われている野菜は島のものではありません。が、決して批判できることではないと思います。なぜなら、みんながみんな忙しい(?)現代の暮らしの中ではそのほうが便利だからです。島の人だけでなく、私たち日本人は皆、便利=豊かだとずっと思い込んできたからです。そして、手元足元にある宝物に気づかず、便利、安いという理由で、外から買うという行動を当たり前としてきました。農業だけではありません。水産業も林業も、そしてエネルギーも。国という枠組みにおいても、地域という枠組みにおいても同じ構造が見て取れます。まさに入れ子構造です。
もちろん、貿易やモノの売り買いは大切です。しかし、外へ支払っているお金の1割でも2割でも域内で循環することができれば、地域の課題の解決のために地域で使えるお金を増やすことができるのではないかと思います。一見関係がないように見える「地域でお金を廻す」ことと「心豊かに暮らす」ことは、実は表裏一体だと感じた今回の旅でした。
追申1:国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)・社会技術研究開発センター(RISTEX)
創発的地域づくりによる脱温暖化プロジェクトとエネ経会議・小田原市の共催で、
地域が元気になる脱温暖化全国大会in 小田原がわがふるさと小田原で10月20(土)
21(日)に開催されます。会員の皆さまのご参加をお待ちしています。
追申2:直近のけしからぬニュースを2件
1)9月12日の日経新聞夕刊に「再生エネ専用の電力市場」と書きながら、本文で
は「新市場では再生エネや原子力など二酸化炭素(CO2)を出さない電気の「環
境価値」を売り買いする。」とあります。看板に偽りあり!
2)廃炉費用を新電力へ
以下、わがエネ経会議のアドバイザーである衆議院議員の河野太郎さんのメル
マガをご覧ください。
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衆議院議員 河野太郎の国会日記
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この夏、エネ庁の中を怪文書が駆け回っている。
その怪文書を持って、議員会館の中をせっせと回る官僚もいる。
それをすっぱ抜いたのが9月8日付けの毎日新聞の記事だ。
東京電力の福島第一原発の廃炉費用や事故の賠償費用に、そのほ
かの原発の廃炉費用を合計すると8.5兆円になり、その負担を
電力会社だけでなく、新電力にも求めようというスキームが描か
れている。
電力自由化で、大手の電力会社から新電力への切り替えが進むと
大手の電力会社の負担が増えるので、それを救済しようというエ
ネ庁の画策だ。
つまり、電力の供給に大手電力会社の送電網を使わざるを得ない
新電力が負担する託送料金にこうした費用を上乗せして徴収し、
新電力と契約した消費者にも負担をさせようというのだ。
安倍政権で進めてきた電力自由化に全く逆行する。
電力自由化の狙いの一つは、大手電力会社と新電力が競争し、あ
るいは地域独占で高い利益を上げてきた大手電力会社同士が競争
し、電力料金が下がっていくことにある。
新電力の消費者が使ってもいない原発のコストを負担させられた
ら電力自由化は意味を失う。
過去にNTTの電話を使ったことがあるからといってauやソフ
トバンクの利用者にDoCoMoのコストを負担させるようなものだ。
そもそも原発のコストはバックエンドを含めても安いとエネ庁も
電力会社も主張してきた。 もちろんそれが明らかな嘘であると知
りながら。
2012年9月21日付けのブログ「原発再稼働と電力会社の経
の引き当て不足について書いたが、電力会社は利益を増やすため
に必要な廃炉の引き当てをしてこなかった。
利益は懐に入れさせておいて廃炉費用を国民に押し付けようとい
うのはおかしい。
もともと原発のコストには、バックエンドから事故の賠償から、
すべて入っての計算のはずだ。 経営判断としてそれを推し進めて
きたのだから、その責任は電力会社が負担するのは当然だ。
さらにこれまで電力会社やエネ庁が主張してきた廃炉費用の見積
もりにも疑念がある。
ドイツの廃炉費用の見積もりやすでに始まっている東海原発の廃
炉費用の見積もりと比べて、大幅に安い。
さらに資産計上されている核のゴミについても本当に資産なのか
どうか疑わしい。
さらに福島第一の事故に関する費用は膨れ上がる一方だ。
原発で儲けた電力会社は、当然に、原発事故に関する賠償や費用
を負担する必要がある。
資本主義の中で、利益を出している上場企業に税を投入したり、
株主、経営者、貸し手の責任が追及される前に消費者に負担が押
し付けられるようなことがあってはならない。
事故から5年、国民ももはや原発のことはそれほど気にしていな
い、声を上げないというのが今のエネ庁の考えだ。
そして喉元は過ぎたというエネ庁が正しいのかどうか、電力会社
は静かに見ている。
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代表行動予定
◆ 9/16(金)14:00〜 市民環境プロジェクト 講演(ITビジネスプラザ武蔵交流室)
◆ 9/19(月)13:00〜 茅ヶ崎自然エネルギーネットワーク様視察会(鈴廣)
◆ 9/29(木)10:00〜 大和革新懇視察(鈴廣)
◆ 10/15(土) クールチョイスシンポ「石田秀輝先生講演会」(松田町町民文化センター)
(小水力等視察後、鈴廣かまぼこ里ご見学、その後松田へ)
◆ 10/18(火)19(水) 岩手県紫波町視察会
◆ 10/21(金)22(土) JST全国大会(お堀端コンベンションホール)
21日(金)16:00〜18:00 登壇 22日(土)10:00〜11:30 登壇