原発の再稼働はこの危機的な状況への一時的な緊急避難的な措置なのか、今後継続的に使い続けるのか? はたまた、何が今電力コストを引き上げているのか? なぜ電力の供給が逼迫する危険性があるのか? など明らかにされるべきことはたくさんあります。
また、客観的な議論も不足しています。例えば、「再生可能エネルギーは不安定なので代替のベースロード電力として原子力を」という主張は、最新の技術、それも実用化されている技術を知らない意見です。例えば、周波数の違いから西日本と東日本では融通できる電力が限られていること、つまり、再稼働できる原発が限られていて電力不足が懸念される東日本には、西日本の原発からはその、まま送電できないという事実を踏まえていません。
正確な事実に依る議論が待たれる所以です。
さらには、全ての経済活動、いや生活そのものを揺るがす異常気象や自然災害をもたらす気候変動、その対応としての脱炭素は最重要です。しかし、その上にあるべき「持続可能性」という視点が重要です。原発については、その視点から無視できないのはゴミ、つまり使用済核燃料の処理問題であるべきですが、ほとんど議論されないのは不思議です。
誤った現状認識と目先の利益にこだわる故のエネルギー効率化(=再エネ)と再生可能エネルギーの導入へ中途半端な取り組みは、この国の貴重な10年間を空費させてしまいました。
関係者だけのクローズなポジショントークのよる議論を超えて、オープンな場での短期・中期・次長期の視点に立った、電力だけに偏らぬ熱も含めたエネルギー全体像を観た、事実とデータに基づいたまっとうな議論が待たれます。
そして、並行して、地域では、自分たちの地域はどういうエネルギーシステムで生きていくのか(地域で取り組むべき脱炭素とは、地域で廻るお金を増やしていくためエネルギーの地産地消をどう進めていくのか)を自分事として議論をし、官民連携した政策としての「地域版エネルギー基本計画」を策定し、そのPDCAを廻していくことの重要性を改めて感じています。