太陽光パネル「相乗りくん」はシェアリングエコノミー!

 

長野県上田市のNPO法人上田市民エネルギー理事長の藤川まゆみです。

「相乗りくん」と名付けた市民発電所を増やす事業を行っています。

東日本大震災の前後、わたしはかっぱ寿司のアルバイトで生計を立てていて、ビジネスはもちろん発電についてもなんの知識もありませんでした。

そんなわたしがNPOの理事長になり、2011年11月より市民エネルギー事業「相乗りくん」をスタートし今日に至っています。世も末かもしれません。笑。

いえ、きっとそうではなく、経験や知識の量に関わらず市民も含めてあらゆる人がそれぞれのチカラを出し合って、自分たちが望む社会を創っていく新しい時代が始まったのですね。

今ここに立ち会った大人の責任でもあると思います。

 

2007年から上田市を拠点に市民活動としてエネルギーを考える映画会やワークショップを開いてきました。でも福島で原発事故が起きた時、意見を言うだけ勉強するだけでは電気は1Wも増えないこと、力のある人たちがいつか問題を解決してくれるんじゃないかと期待していたことを自覚させられました。

 

わたしたち自身がやらなければ!今すぐできることは!?と、震災の一ヶ月後から仲間たちと一緒に動き始め、同時期に設立された自然エネルギー信州ネットや県のサポートもあり、まずは信州に降り注ぐ太陽エネルギーを使って「相乗りくん事業」をスタートすることになりました。

 

「相乗りくん」は信州の日当たりのいい広い屋根に市民がお金を出し合って一緒に太陽光パネルを設置し、みんなで売電収入を得ながら自然エネルギーを増やしていく仕組みです。

第一号は昔は養蚕をしておられた大きな屋根の住宅で屋根オーナー1人と8人のパネルオーナー(出資者)がそれぞれ希望の金額で設置費用を出し、9.87kWのパネルを相乗りさせました。

「相乗りくん」は小規模でも一つ一つ発電所を増やしていけるオリジナルの手法で、屋根オーナーとパネルオーナーの顔が見える市民が主人公のエネルギー事業です。

 

2011年度末に住宅への設置から始めた相乗りくんですが、2012年7月FITスタート後は市立保育園や信州大学繊維学部キャンパスまた地元企業の屋根など50kW未満の低圧の発電所も増やし、上田市を中心とした東信州や安曇野市松本市に合計で33ヵ所・約360kWのパネルを設置してきました。

パネルオーナーは全国どこからでも参加でき、長野県内と県外の参加がほぼ同数、出資額の合計は約8,500万円。この夏には1億円に達する見込みです。

「あなたのパネルが相乗りしている屋根はここですよ。」と屋根の写真をお送りするとご自分の相乗り屋根を見に来られるパネルオーナーさんも多く、屋根オーナーさんと交流されたついでに観光し宿泊して帰られます。信州と全国をつなぐ役目も果たせているかなと思います。

 

 

カーシェアリングでは1台の車を複数の人がシェアして経済的に効率のよい活用をしますが、同じように相乗りくんは日当たりのいい屋根をみんなでシェアして効率よく自然エネルギーを増やすシェアリングエコノミーです。

相乗りくんの最もよく発電する屋根では年間発電量が1,450kWh/kWを超える年もあり、この信州の豊富な太陽エネルギーも全国の皆さんとシェアしています。

 

「相乗り」は英語で「シェア」。

「相乗りくん」では住宅や事業所の屋根を人間たちがシェアするだけでなく、鶏小屋の屋根で鶏と建物をシェアしたり、羊に発電所に来てもらって餌のシェア(草対策)もあったり、また29年度はお米や野菜と太陽エネルギーをシェアするソーラーシェアリングや、地元企業とのコラボで観光とのシェアなどにも挑戦したいと思っています!

 

 

太陽光の買取価格が下がり、全国で地域外事業者(または外資系事業者)によるメガソーラーの大規模開発の問題が起き、自然エネルギーならなんでもいいという時代は終わりました。

いよいよ地域の地域による地域のためのエネルギー事業が求められています。

 

エネ経会議の鈴木悌介代表がおっしゃる通り、「これまで外に支払われていた地域のエネルギー代金は地域の課題解決に使える原資」として、省エネと共に地域主導のエネルギーを最大限に増やしていくべきです。

信州でもこれからの地域の未来づくりに市民も能動的に、企業・行政のネットワークを深めつつ、一歩一歩丁寧に、時にはジャンプしながら進んでいきたいと思っています。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

相乗りくんHP:www.eneshift.org

Facebookページ:https://www.facebook.com/ainorikun/?fref=ts